ミニマムにDTMを始めてみた!iRigとGarageBandで「カゲのオバケ」をインストアレンジ
メタル・ラウド系6弦ベーシスト
轟音ファクトリーのSUMI-changです。
以前から「ぼちぼち始めたい」と思っていたDTM。
何でもこだわりたいタイプの僕ですが「グダグダ言ってないで始めちゃえ!」と、久しぶりに機材に投資してDTMライフをスタートさせました。
テーマはミニマム。最小限・コンパクトにDTMを始めたい。
必要機材の購入から録音、アレンジ曲アップロードまでの経緯を書きます。
完成形はこんな感じ!
▼人生初。アレンジ曲をYouTubeにアップ!嬉しい!
今回初めての曲作りの素材に選んだのはNHK「みいつけた!」のエンディングテーマ「カゲのオバケ」。今人気らしいカノエラナさんの作曲。
たまたまテレビで流れているのを聴いて「何これカッコいい!子供番組らしくない!カバーしたい!」と中学生以来の情熱が湧き上がる。やるしかない。
いやぁしかし、この曲かっこいい。切ないメロディーとか割とロックな音作りとか。サビの裏打ちなんて完全に今っぽいけど、全体の印象はどこか懐かしい感じなんですよね。歌詞も可愛いし。ずるいわぁ。自分の曲ってことにしたい。
パソコン選び
よっしゃやるぞ!
おそらくDTMをバリバリやっておられる方はパソコン選びの段階から「音楽づくり」を前提に購入されていることと思います。動画編集についでパソコンのスペックが必要になるDTMですからね。ここは惜しまずハイスペックなやつを!
と言いたいところですが、とりあえずあるものでいきます。
実は最近、別の目的(一度スタバでドヤってみたい)で買ったMacBook Proがうちにはあった!しかもMacには標準でGarageBandというDAW(音楽用ソフト)が入ってる!
MacBook Pro自体は店頭で手に入る所謂「吊るし」のモデルなので、そこまでハイスペックってわけではありません。DTMの先輩からすれば「それはちょっときついんじゃない?」ってくらいのスペックなのかな。一応2017年発売の最新モデルです。
ひよっこDTMerの僕には十分すぎる。
オーディオインターフェイス選び
ここは散々悩みました。
パソコンにギターやらベースやら録音しようと思うと「オーディオインターフェイス」なる機材が必要なんですね。これが本当にピンキリで1万円を切るものから10万越えまで色々。長く使いたいけど最初だから違いを感じられないかもしれないなーと思い必要最小限のスペックで探しました。
- 録音に必要な最小スペック(音質)が確保されている
- Macで使いやすい・正式にサポートされている
- なるべくコンパクトなやつ
- マイク入力はなくてもいい(あとで欲しくなる可能性はあるけど)
- iPhoneでも使えたらあとあと面白そう
- オマケのソフトが豪華ならなお嬉しい
iRig HD2 を買いました。お値段1万円也。
IK Multimedia iRig HD 2 高音質ギター/ベース用インターフェイス【国内正規品】
- 出版社/メーカー: IK Multimedia(アイケーマルチメディ)
- 発売日: 2016/10/22
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
小さい(これ重要)のと、オマケのアンプシミュレーターAmplitube4につられて買いました。本体より高いオマケってどうなのよ。
気になっていた音質や遅延に関しては問題なし。シンプルで使いやすい!
最初箱から出したときはあまりの軽さに「これ大丈夫?」って感じでしたが、コンパクトながら長く使えそうです。
MIDIキーボード選び
ドラムやキーボードパートの打ち込みがスムーズになりそうなので、DTM用の鍵盤も買っときましょう。これもなるべくミニマムにいきたかったので、小さくて可愛いこいつになりました。
KORG nanoKEY2
一般的なMIDIキーボードに比べたら鍵盤の打感はフニャッとしているし、25鍵しかないので本格的な演奏は無理ですが、打ち込み用ならこれで十分。小さくてオシャレ(これ重要)なのがいい。
いざ録音!
できたー!ミニマムDTMセット!
サブモニターがでかくって「どこがミニマムやねん!」と突っ込まれそうですが、モニターのサイズはミニマムじゃない方が圧倒的に作業しやすいのでそこは許して!
モニターヘッドホンはMTR時代から愛用しているオーディオテクニカATH-M30。10年選手で耳当ての合皮は全て剥がれ落ちましたが、癖がなくて使いやすいです。
サブモニターの下にあるのは外付けHDDとXBOX KINECT(あんまり売れなかった体感型ゲーム)
形から入るタイプの僕は、ここで俄然やる気になる環境を作ることでテンションが上がり、あとあとの音源制作スピードが段違いに上がるので
ある程度「音楽やってるやん僕。カッコいいやん。」っていう自己満足も必要(だと思う。)
GarageBandの使い勝手や音源制作のあれこれについてはまた別記事で書きますね。
僕はベーシストなんで、ベースの録音に関してはさらっといけたんですが
ギターに関しては難航しました。初心者に毛の生えたようなスキルなので。
オマケのソフトAmplitube4での音作りから演奏まで「あーでもないこーでもない」と時間がかかりました。でもちょっとだけギターうまくなったかな。
YouTubeにアップロード
以前にも記事にしたんですが、YouTubeは楽曲に関する著作権の扱いがシビアでアーティストの楽曲をそのまま使用することはもちろん、それをバックに演奏した動画もアウトなんですね。
しかし今回はぜーんぶ自分で打ち込み・演奏してますから堂々とアップできる!
人生初のYouTube動画投稿です。
おわりに
何でも「とりあえず始めてみる」って大事。
情報はいくらでもネットに転がっているこの時代。始めてみたら何とかなるもんです。
今回はミニマムをテーマにDTMをスタートさせたわけですが、のめり込むタイプの僕は数年後もこのミニマムさをキープしている自信は正直ありません。絶対新しい機材とか欲しくなるんですよね。物欲怖い。
ともあれ、しばらくはiRigHD2とGarageBandで遊べそうです!
CRYPTOPSY ヴォーカリスト別おすすめアルバム ~デスヴォイスにもいろいろあるんDEATH~
メタル・ラウド系6弦ベーシスト
轟音ファクトリーのSUMI-chang(すみちゃん)です。
今回は大御所デスメタルバンド"Cryptopsy"(クリプトプシー)のアルバムレビュー。歴代4人のヴォーカルスタイルに注目しながら、おすすめアルバム・曲を紹介します。
- はじめに
- No.1 ロード・ワーム (1988-1997, 2003-2007)
- No.2 マイク・ディソルボ (1997-2001)
- No.3 マーティン・ラクロワ (2001-2003)
- No.4 マット・マギャキー (2007-2017現在)
- おわりに
はじめに
クリプトプシー(Cryptopsy)は、カナダ出身のテクニカルデスメタル・バンド。
メンバー全員が高度な演奏技術を有するデスメタル・バンドとして知られ、特にドラマーのフロ・モーニエは「メタル界最速」とも言われる超絶技巧で有名。現在までに7枚のフルアルバムと1枚のライブアルバムを発表しており、総売り上げは30万枚を超す。過去に『LOUD PARK』を含めた数度の来日公演がある。
デスメタル史を語る上で外せないバンド。ニッチなジャンルとは言え、世界的なCDセールス・ツアー実績から見ても「大御所」と呼ぶにふさわしいでしょう。メタルをかじった方なら、ドラマーが何やらすごいらしいことくらいは耳にしたことあるのではないでしょうか。
洋楽バンドあるあるですが、クリプトプシーも頻繁なメンバーチェンジのあったバンドです。2017年現在も活動を続けていますが、オリジナルメンバーがドラムのフロ・モーニエただ1人。(正確に言うと彼も本当のオリジナルメンバーではない。)
ヴォーカルもコロコロ変わっているため、初めて聴く方には「結局どのアルバムがいいわけ?」となってしまうので、今回はヴォーカリスト別にアルバムレビューしてみたいと思います。※楽器隊も激しいメンバーチェンジがあります。興味のある方は各自お調べ下さい!
No.1 ロード・ワーム (1988-1997, 2003-2007)
クリプトプシーといえばこの人、歌詞聴き取れない選手権ファイナリスト「ロード・ワーム」です。今やもうデスメタル界のアイコンのような存在。まずは彼がヴォーカルを務めた作品から聴いてみましょう。いきなりハードル高いですが、ロード・ワームの声に慣れたら大体のデスメタルバンドのヴォーカルを心地よく聴けるようになりますので、通過儀礼のようなモノだと考えてください。
おすすめアルバム
- 1994年 Blasphemy Made Flesh
- 1996年 None So Vile ★
- 2005年 Once Was Not
None So Vile
セカンドアルバム。1996年リリース。名盤。
ロード・ワームの特徴は、聴き取れないほどのガテラルヴォイス。最初に聴いたときは「これヴォーカル?」という感じでしたが、聴き込むほどにクセになる。ガチガチ・バキバキの楽器隊に押しつぶされそうになりながらも、決してその存在感を失わないゲロゲロ下水道ヴォイスは唯一無二。このアルバムリリース後は一度バンドを離れることになりますが、2005年に復活作"Once Was Not"をリリース。ファンからの信仰も厚い、伝説的ヴォーカリストです。
おすすめ曲
▼Crown of Horns
アルバム1曲目を飾る激烈ナンバー。これを聴いていただければ、ロード・ワーム氏のヴォーカルスタイルはよく理解していただけるかと。
▼Phobophile
今なおライブでも定番曲。ピアノのイントロから急転直下のデスメタルワールドへ。複雑な曲展開の多いバンドですが、この曲はメインリフがしっかりしており様式美すら感じます。相変わらずヴォーカルは「ヴォイブギギョギャ!!」ですけど。
ライブパフォーマンス自体はそこまで派手ではないんですが、生きたミミズを食らうというオジー・オズボーン顔負けのエキセントリックなステージをやっていました。
▼超閲覧注意です。僕も途中で見るのやめました。
▼元ネタは再結成後のこの曲のPV
実は2007年に来日した際「生ロード・ワーム」を見たことがあるのですが、そのときはミミズ型のグミで代用してました。正直ほっとしたよ。
No.2 マイク・ディソルボ (1997-2001)
2代目ヴォーカル。前任のロード・ワームと比べるとかなり歌詞も聴き取りやすく、オーソドックスなグロウルヴォイスの持ち主。ロードが楽器隊といい意味でズレ・モタリがあったのに対して、マイクのヴォーカルはがっちり演奏とかみ合ったパーカッシブなスタイル。バンド全体に力強さをもたらしました。4人のヴォーカルの中では一番取っつきやすいです。彼が在籍時にリリースされたアルバムは2枚ですが、どちらも全力でおすすめです。
おすすめアルバム
- 1998年 Whisper Supremacy ★
- 2000年 ...And Then You'll Beg ★
Whisper Supremacy
サードアルバム。ロードからマイクにメンバーチェンジ後の1枚目です。
前作にあったような湿っぽさ・不気味さはありません。からっと乾いた切れ味のいいモダンなデスメタルをやっています。ジャズにルーツがあるというDr.フロのプレイもさることながら、Gt.ジョン・レヴァサーの独特なメロディー・ギターソロが光ります。
マイクは終始ゴリ押しのスタイル。カチッとはまったグロウルが心地よい。
おすすめ曲
▼Cold Hate, Warm Blood
ジャズ→デスメタルの豹変っぷり。もうこの曲を聴いておけば問題ありません。
▼ちなみにロード・ワーム氏が歌うとこうなる。ギョヴォギェッ!
...And Then You'll Beg
続く4thアルバム。楽器隊がもはや理解不能な域に。個人的には一番好きなアルバム。ベースがブリブリいっているからね!!相変わらず押せ押せなマイクさんのヴォーカルもストレートでかっこいいです。
おすすめ曲
▼We Bleed
終盤5:17~のギターソロがたまらない。デスメタル史上最高のソロだと思っています。
No.3 マーティン・ラクロワ (2001-2003)
どれだけ探しても↑の小さな画像しか見つからなかった3代目ヴォーカル、マーティン。それもそのはず、彼の在籍時にスタジオアルバムはリリースされておらず、一時的なサポートといった立場でした。
しかしなぜか彼の在籍時にライブアルバムをリリース。ロードとマイクの中間くらいのヴォーカルスタイルで、2人が在籍していた時代の曲を歌いこなしています。録音状態もまずまずなので、ベストアルバム的に聴くのもいいでしょう。
▼ライブでの立ち振る舞いはなかなかかっこいい。
No.4 マット・マギャキー (2007-2017現在)
2017年現在のヴォーカリスト。歪みの深い、現代的なガテラルヴォイスを得意としています。ライブパフォーマンスも積極的で、長髪を生かしたローリングヘッドバンギングは見物です。
実は彼が問題児でして、加入した当初は「メロディーも歌える」という売りでバンドに新しい風をもたらしました。それがまずかった。
- 2008年 The Unspoken King ※問題作
- 2012年 Cryptopsy ★
▼問題作がこちら
- アーティスト: クリプトプシー
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2008/07/23
- メディア: CD
- 購入: 1人 クリック: 2回
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今までゴリッゴリのデスメタルで突き進んできたクリプトプシーがまさかのメロディー。当然ファンからはコテンパンに叩かれ、新加入のマットのメンタルも雑巾のように絞り上げられました。後に彼は当時のバッシングが辛かったことも語っています。正直クリプトプシーじゃなかったら、もう少し評価されていただろうに。
リーダーのフロいわく「フィーリングを大切にしたかった」らしく、なんとマギー・デュランドなるキーボーディストも加入しましたが、なんやかんやなかったことになっています。 賛否両論問題作です。
▼この曲はまあかっこいい。
▼この曲は…歌っちゃってるよ。
そして、ボロクソに批判を受けたマット少年が「もう二度と歌わない」とばかりにメロディーを封印してリリースされたのが、セルフタイトルアルバム"Cryptopsy"です。
おすすめアルバム
Cryptopsy
前作の不評を吹き飛ばす、ゲロゲロヴォエーなデスヴォイス全快の超攻撃的アルバム。音作りやヴォーカルスタイルが今っぽいのは否めないが、初めて聴いたときに「ああよかったね。やっぱりこれだよね。」と妙に安心したのを覚えています。
おすすめ曲
▼Two-Pound Torch
▼Red-Skinned Scapegoat
4:35~のジャジーな展開がアクセント。
この後しばらくアルバムはリリースされていませんので、今後に期待したいところです。
おわりに
一言に「デスヴォイス」といっても、ヴォーカルスタイルは様々です。興味のない方からすればどれも不快なだけかもしれませんが、慣れると非常に心地いいものです。是非クリプトプシーも、お気に入りのヴォーカリストの作品から聴いてみてください。
初めてのベース弾いてみた動画アップ! 動画撮影からニコニコ公開までの道のり
メタル・ラウド系6弦ベーシスト
轟音ファクトリーのSUMI-chang(すみちゃん)です。
羊のお面をトレードマークに、ひっそりと弾いてみたデビューしました。
▼以前より公言していた「弾いてみた」動画のアップ。
やっとのことでニコニコ動画へのアップができましたので、その道のりを紹介します。反省点も踏まえて、2本目の動画アップにつなげたいと思います!
1.音源の制作
まずは音源の制作です。今回カバーする楽曲はDream Theaterの"Pull Me Under"です。難曲ばかりのドリームシアターですが、比較的カバーしやすい部類に入るかと思います。6弦ベースをドヤ顔(お面の下は)で弾いていますが、4弦ベースでも演奏できます。
いろいろと録音・撮影方法に悩んだのですが、MTR+当て振りプランでいくことにしました。最もローコスト、慣れ親しんだMTRでの編集でしたのでスムーズに作業は進みます。
手持ちのCDから音源を取り込んで、それに合わせてベースを弾きます。もちろんここは時間をかけて要練習です。やり直しのきく方法とは言え、音源だけでも演奏力は如実に伝わります。
元の音源のベース成分を大幅にカットして、自分の弾いたベースが聴き取りやすいように微調整。今回ベースの音はコンプとプリアンプのみのシンプルな音です。曲に馴染むよう気持ち歪ませています。
▼エフェクターについては別記事で詳しく書いています。
MTRとパソコンをつないで、完成したトラックをWAV形式でPCに保存。これで動画の「音」の部分はとりあえずオーケーです。
2.動画撮影
次は動画を撮影します。今回はiPhoneの標準カメラで撮影しました。曲の長さが8分と長尺なので、ストレージ残量との戦いだった…撮影前にデータの整理をしておくべきでした。反省。
動画の撮影が一番時間がかかりました。アングル決めにごにょごにょと時間がかかり、いろいろ試しましたがベタな正面からのカットに決定。 次はもう少し動きのある映像作りにチャレンジしたいところです。
準備ができたら撮影!ヘッドホンで音源を聴きながら弾きます。同時にスピーカーから音を鳴らしておくと、後で音源と動画をがっちゃんこするときに合わせやすいです。
ぶっちゃけ当て振りなのでミスったところで分からないのですが、妙に緊張してしまい何度も撮り直しました。誤算だったのが「羊のお面」の存在。顔バレ防止とトレードマークになればと思い導入したのですが、視界がめちゃくちゃ悪い。緊張感も相まって、何でもないフレーズでミスを連発するという情けない事態に。お面の中は非常に蒸れます。おじさん汗だくになりながら深夜の1時まで頑張りました。
必死の思いで撮影した動画をパソコンに取り込みます。
3.動画の編集
パソコンに取り込んだ音源と動画をくっつけます。使用したのはおなじみWindowsムービーメーカー。
ここで重要なのは
- 音源と動画をぴったり合わせること
- 動画の方の音量を0にしておくこと
幸いムービーメーカーは動画のトリミングが0.01秒単位で調整できるので、音源と動画をリンクさせるのにはさほど苦労しませんでした。当て振り動画の方の音量も簡単に調整できたので楽ちんでした。
ついでに動画の最初に出る紹介画像と、ラストの"Thanks for watching!!"という画像も入れてみました。演奏動画自体は特に何の演出も加えていませんので、所属しているバンドやこのブログのプロモーションも兼ねてオープニングとエンディングに少しだけ工夫をしました。
画像の編集に使ったのはGIMPというフリーソフト。フォトショップっぽい操作感で使いやすいです。
「GIMP」無料で高機能な画像編集・処理ソフト - 窓の杜ライブラリ
4.動画のファイル形式の変換
ここで問題発生。ムービーメーカーではニコニコにアップするためのファイル形式MP4に出力できないことが判明。※新しいバージョンだとMP4にも書き出しできるみたい。
とりあえずWMV形式で書き出して、変換ソフトを使ってMP4に変換することに。
いくつかフリーソフトをダウンロードして変換してみましたが、詳細な設定ができず元の動画を劣化させてしまうモノばかり。たどり着いたのはオンライン上で動画の形式を変換できるApowersoftで、できる限り劣化を抑えてMP4に変換しました。
Apowersoftフリーオンライン動画兼音声変換ツールーダウンロードする必要がなく、音声また動画フォーマットを高速に変換
5.ニコニコ動画へのアップ
最後にいよいよニコニコ動画へのアップです。
今回の動画はアーティストの音源をそのまま使用していますが、ニコニコ動画はその辺りの著作権問題はクリアしているので大丈夫。
弾いてみた動画と著作権 YouTubeとニコニコ動画の使い分け - 重六低音 おもろくべーす
元からアカウントは持っていたので、ガイドに従ってアップするだけですんなりと公開できました。めでたしめでたし。
6.反省点
動画のサイズです。
視聴していただくと分かると思うのですが、周りに黒い枠が入ってしまいました。ニコニコ動画の推奨する動画サイズに満たず、全体に縮小されてしまったようです。残念。
そもそもiPhoneで撮った際の画素数が足りてなかったので、画面いっぱいに表示させようと思うと、もう1度「2.動画撮影」からやり直さないと無理っぽいです。もうそんな体力は残っていなかったので、とりあえず今回はこれで良しとしましょう。
7.おわりに
http://www.nicovideo.jp/watch/sm32107578
初めての動画投稿ということで、やってみるといろいろと分かることがありました。今回の反省を生かし、さらなるクオリティを求めて第2弾を制作します!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
Issuesはズルい。(と思えるほどカッコいいバンドだ!)
メタル・ラウド系6弦ベーシスト
轟音ファクトリーのSUMI-chang(すみちゃん)です。
新しい音楽との出会いをやめるといわれている33歳を目前にして、「ちょっと流行りのバンドでも聴いておくか」と手を出したIssues(イシューズ)。今回はそんなIssuesのレビューです。このバンドはズルい。
はじめに
R&Bのエッセンスを現代的なメタルコア・djent風味のアンサンブルに乗せて、さらにはスクリームも味付けに。曲によってはEDMっぽい要素も詰め込んだ欲張りなバンドです。とりあえず2017年リリースの最新アルバムを聴きました。
カッコいい。でも何だろうこの胸のモヤモヤは。
しばらく考えた末、このモヤモヤは「嫉妬」だという結論に達しました。おじさんのやきもちでした。
イケメンなのがズルい
▼Vo.タイラー・カーター
最近のメタルコア・ポストハードコア系バンドの傾向に漏れず「イケメン」なメンバーが多い。これはズルい。加えてVo.タイラーの歌声がこれでもかと甘い。モテそう。ズルい。
djentのエッセンスを取り入れるんだったら、是非とも"メシュガー"大先輩のお顔を見習ってほしい。
この怒りに満ちた無慈悲なオーラにモテ要素は皆無。
おしゃれなのがズルい
何ですかこの小洒落たPVは。モテそう。ズルい。
メタルのエッセンスを取り入れるんだったら、メタルの神様"ジューダス・プリースト"大先輩のPVを見習ってほしい。
最高にダサいカッコいいPVには、残念ながらモテ要素は皆無。
オタクアピールがズルい
ポケモンが好きらしい。
アンプ類がゲームボーイ風に、バンドロゴもポケモン風にアレンジされている。
▼海外版ポケモンのオープニングテーマもやっちゃうらしい。
守備範囲の広さアピール、ズルい。
大御所デスメタルバンド"モービッド・エンジェル"のトレイ・アザトース先輩を見習って、バンドの音楽性とかけ離れた趣味は控えめに主張した方が良い。
アザトース先輩は日本のアニメが大好き。特に「らんま1/2」「マクロス」「セーラームーン」がお気に入りで、PVはらんまの勝負Tシャツを着て慎ましくデスメタルをやっておられる。
▼3:32~のギターソロで、突然らんまTシャツに着替える先輩。
もちろんそこにモテ要素は皆無です。
※ちなみにモービッドエンジェルもガチでカッコいいバンドです。
おわりに
「バンドをやればモテる」神話にことごとく裏切られてきたおじさん世代には、Issuesのようなモテ要素満載のバンドは、まぶしすぎてとても直視できません。
結局何が言いたかったかというと、Issuesは嫉妬するくらいカッコいいし、音楽性も演奏もしっかりしてるのでいいバンドだということです。是非聴いてみてください。こんちくしょう。
MUDVAYNE 初期3作品 奇抜なメイクの変遷とともにレビュー
メタル・ラウド系6弦ベーシスト
轟音ファクトリーのSUMI-chang(すみちゃん)です。
はじめに
マッドヴェイン(Mudvayne)は、アメリカ合衆国イリノイ州ピオリアで結成された四人組ヘヴィメタルバンド。1996年に結成された。アメリカの大型フェスティバルTatoo The Earthに驚異の新人として登場する。楽曲にデスメタル、ハードコア・パンク、ジャズフュージョン、スピードメタル、プログレッシブ・ロックの要素を取り入れている。
SLIPKNOTやKORN直系のヘヴィロックサウンド。ファーストアルバム発売時には斬新なメイクとともに登場したため「イロモノか?」と思われがちですが、演奏力は本物です。特にリズム隊のコンビネーションが素晴らしく、跳ねるリズムや変拍子など、複雑に入り組んだ曲が彼らの個性です。
今回は大好きなマッドヴェインの1st~3rdアルバムを、彼らの奇抜なメイクの変遷とともに紹介します。
L.D.50 (2000年)
ファーストアルバム。ジャケットからして偏差値高そうです。早速メンバーのメイクから見ていきましょう。
メイクをチェック!
▼Vo.チャド・グレイ
青毛と銀の皮膚のゾンビ
▼Gt.グレッグ・トリベット
顔中トゲだらけの赤鬼
▼Ba.ライアン・マルティニー
黒塗りスキンヘッドに2本角の鬼
▼Dr.マシュー・マクドノウ
顔の中心から白黒に分けた辮髪
当時のライブ映像でも、がっつりメイクで演奏している様子が見られます。演奏の本気度と相まって、恐怖感すら感じる異様な雰囲気が伝わってきます。
特にファーストアルバムはVo.チャドの怒りがMAX激おこです。安定感のあるシャウトとは言い難いですが、喉から無理やり絞り出したような、今にも吐血しそうなギリギリの鬼気迫るヴォーカルが聴けます。(実際彼は一度喉を壊すことに…。)
ギターはリフでガンガン押してきます。特に目立ったソロパートはなく、パワー系のギタリストの印象。逆にリズム隊はアチコチ飛び回り、曲全体に立体感や奥行きを生んでいます。僕がベーシストなので、どうしてもベースラインに耳が行きがちなんですが、おそらく初めてマッドヴェインを聴いた方も「なんかベースが難しそうなことしてるな」という印象を受けると思います。スラップやタッピングなど、かなり凝ったベースラインを演奏しています。
この曲はマスト!
"Dig"
ベースのスラップが曲のウネリを作っています。ブチ切れヴォーカルにパワフルなリフ。怒りを限界まで高めてぶつけてくるような、そんな曲です。PVもめちゃカッコいい。Ba.ライアンのイッちゃった顔が最高。
"Death Bloom"
プログレッシブな曲展開と、切ないサビが心に残る曲。冒頭、ギター&ベースのハーモニクスも特徴的。ベース推しなミックスも手伝って、どうしてもベースラインを追ってしまう。リズム隊の見せ場が多い、ベーシスト・ドラマーキラーな一曲です。
ファーストアルバムは、彼らのテンションが振り切れていて大好きです。
The End of All Things to Come (2002年)
セカンドアルバム。邦題は「ヘヴィロック断末魔」。以前紹介したカーカスには及びませんが、これもたいがいなトンデモ邦題ですね。
メイクをチェック!
突然の路線変更。なぜか全員宇宙人。特にメンバーの特徴もないのでまとめて紹介。
正直「急やなぁ」という印象は拭えませんが、めちゃくちゃインパクトあります。しかしこれでライブをしている映像は見当たりませんでしたので、アートワークの一部として見てもいいでしょう。下で紹介しているPVでは、基本的に全員すっぴんで演奏しています。
この曲はマスト!
"Not Falling"
映画「ゴーストシップ」のエンディングテーマにもなった曲。変拍子が気持ちいい。終始ウネウネ動きまくるベースラインも堪らない。
PVが2種類あるようです。
▼雪山バージョン。すこしも寒くないわけではなさそうだ。
▼宇宙人誕生バージョン(残念ながら途中までのPVしか見つからなかった)
"World So Cold"
彼らの得意な「怒り」ではなく「悲しみ」にスポットを当てた曲。「世界はこんなにも冷たい」。歌い上げるスタイルで前半は聴かせる展開ですが、徐々にヴォルテージが上がっていき、曲全体が悲しみから怒りに転じる瞬間が鳥肌モノ。
Lost And Found (2005年)
サードアルバム。本国では商業的にも成功を収めたアルバムです。早速宇宙人は卒業して、ノーメイクでいくと決めたようです。
メイクをチェック!
ナチュラルだ。
この曲はマスト!
"Happy?"
「歌モノ」といっても差し支えない。要所でシャウトを混ぜてくる以外、全編にわたってクリーンヴォイスが使われています。相変わらずベースはブリブリうねっている。
何度聴いても、ライブ映像を見ても演奏方法がわからないサビのベースライン。コードを押さえながら、速いテンポでタッピングしているように見えますが、真似してみてもなかなか同じような音が出ません。実音と一緒にハーモニクスも出ているのでしょうか…?
"Forget to remember "
映画「SAW2」のエンディングテーマ。サードアルバムは聴かせる曲が多いですね。PVも映画の雰囲気に合わせて「監禁」がテーマになっているようです。
その後のアルバム
実は2011年に活動を休止している彼ら。それまでにあと2枚アルバムがリリースされています。正直あまり聴き込んでいないのですが、初期のような激しい怒りやフックのあるメロディーを感じる曲が少なく、彼ら自身もバンドの方向性に悩んだのではないかなぁ、という仕上がりになっています。
それぞれのアルバムのアートワークにはちょっと変わった仕掛けが用意されていました。
4枚目"New Game"には、歌詞カードに散らばったヒントを元に容疑者の中から真犯人を見つける、というサスペンスフルな仕掛けが。公式サイトにアップされるヒントを元に、ウェブ上で犯人を予想して応募する企画があったのですが、残念ながら英語版サイトのみ。日本の配給元のやる気のなさが感じられる残念な企画でした。
続く5枚目のセルフタイトル"Mudvayne"は、今のところ彼らの最後の作品。真っ白なジャケットと歌詞カードはブラックライトを照らすと読むことができるという微妙にめんどくさい仕様でリリースされました。アルバムの方は激しいブラストビートで幕を開け「おー!きたか!?」と思わせてくれますが、個人的にはイマイチ盛り上がらない曲が多かったです。活動休止は正直「やっぱりなぁ」という気持ちもありますね。
とはいえ大好きなバンドであることには変わりありませんので、英気を養っていつかは復活してほしいです。
ちなみにヴォーカルとギターのグレイとトリベットは2006年からヴィニー・ポール(元パンテラ、元ダメージプランのドラマー)が中心となって結成したバンド、ヘルイェー (Hellyeah) での活動も行っています。気になる方はそちらもチェックしてみてください。
おわりに
耳で聴く「音」にも増して、バンドのヴィジュアルは見るものに大きなインパクトを与えます。マッドヴェインのメイクは特にファーストアルバムの時が大好きで、バンドの方向性にばっちりリンクしたクールなメイクでした。特徴的なメイクや被り物のメタルバンドは他にもたくさんありますので、また別記事で紹介したいと思います!
▼マッドヴェイン5枚セットのお得なアルバムもリリースされています。
メロデス&トンデモ邦題の元祖 リヴァプールの残虐王"Carcass"おすすめアルバム3選
メタル・ラウド系6弦ベーシスト
轟音ファクトリーのSUMI-chang(すみちゃん)です。
はじめに
カーカス(CARCASS)は、イングランド出身のエクストリーム・メタルバンド。
日本では「リヴァプールの残虐王」のキャッチコピーで知られ、度々来日している。初期の音楽性は後のグラインドコア、特にゴアグラインドのシーンで今でも大きな影響力を持ち、またアルバム『ハートワーク』はメロディックデスメタルの先駆けとなった。ファーストからサードアルバム、再結成後のアルバムの日本盤には、それぞれの曲に奇妙な邦題が付けられていることでも知られる(「内臓大爆破」「硫酸どろどろなんでも溶かす」など)。
▼前回取り上げた(というかディスってしまった)Arch Enemyつながりで
heavy6bass.hateblo.jp
今回は英国のCarcass(カーカス)を紹介。彼らの作品の中からオススメの3枚をチョイスしました。初期作品のドギツイ邦題も少しだけ紹介。レッツ手術&ヘッドバンギング!
※今回は、カーカス名物である「インパクトのある邦題」をアルバムごとに紹介しています。バンドのテーマがあれなので、グロテスクな表現が苦手な人はやや閲覧注意です。
Heartwork (1993年)
メロデスの元祖と言われる4th。バンドに加入したArch Enemyのマイケル・アモットが化学変化をもたらしました。デスメタルを基盤に泣きのツインリードを盛り込んで、それまでのグチャドロヴォエーな曲を「聴かせる」曲にしてしまったエポックメーキングなアルバム。
ベタすぎますが、先ずはこのアルバムを勧めざるを得ません。あとで紹介するCarcass初期作品は非常に聴く人を選ぶ音源であるため、普通にカッコいいこのアルバムから入ることを強くオススメします。僕も1枚目はコレでした。
彼らが歌うのは血であり肉であり人体そのもの。解剖学や病理学から引用した歌詞は「リヴァプールの残虐王」と呼ばれる所以でもあります。彼らのルーツに興味が湧いてきたら、徐々に時代をさかのぼって聴いていきましょう。耳と心を慣らしながら…決して無理はしないでくださいね。
カーカス名物・インパクトのある邦題
- 7曲目「汗して肉を得る」原題"Arbeit Macht Fleisch"
- 9曲目「血の病理学的解釈」原題"Doctrinal Expletives"
▼暴虐と哀愁の融合「ハートワーク」
▼冒頭のリフが文字通り死ぬほどかっこいい、邦題「死亡証明書」
Surgical Steel (2013年)
2013年リリースの目下最新作6th。Heartworkの延長線上にあるサウンドだが、17年のブランクを微塵も感じさせない、ぶっちぎりにカッコいいメタルをやっている。「冷たい手術台の上で絶望する」的なバンドのテーマは一切ブレず、曲のクオリティも演奏の切れ味もメスのように鋭い。
リフメーカーであるGt.ビル・スティアーのギターワークも聴きどころ満載だが、カーカスの個性はやはりVo.Ba.ジェフ・ウォーカーのヴォーカルだと思う。邪悪でグロテスクでありながら、彼らの武器である「歌詞」がしっかり聴き取れるデスヴォイスは、バンドの世界観にマッチしている。文句なしにオススメできる1枚です。
カーカス名物・インパクトのある邦題
- 3曲目「バラバラ死体梱包運搬システム」原題"Cadaver Pouch Conveyor System"
- 7曲目「ぶつぶつ悪魔の製粉所」原題"The Granulating Dark Satanic Mills"
▼スタイリッシュささえ感じる、邦題「監禁ネジネジ銃」
▼PV後半はやりすぎてギャグ。邦題「人間消費不適格」
Symphony Of Sickness (1989年)
先に紹介した2作は、メロデスというジャンルを確立してからのCarcass。これは彼らのルーツがよくわかるグラインドコア的な2nd。本当はファーストアルバムから聴いてもらいたい所だが、音質・曲・演奏クオリティ・アルバムジャケット、全てがいろんな意味でキッツイので、ややマイルドな(といっても決して人前では聴けないような)セカンドアルバムを推したい。
よく聴いてみるとバンドの音楽性はこの時点ですでに確立していることが分かる。メタリックなリフやブラストビートを絡めた曲展開など、素直にカッコいいと思える瞬間もチラホラ。
特徴的なのはジェフとビルのツインヴォーカルスタイル。特にビルのゲロゲロ声が強烈なインパクトを残し、独特のグロテスクな世界観に拍車をかけます。正直音質も良くないし、ドラムもモタったり突っ込んだりイマイチなのは確かですが、それがまたアンダーグラウンドな臭いをプンプン発していて癖になります。現在の彼らの演奏力で録り直したら、それはそれでカッコよくなりそう。
▼と思ったら2015年のライブ映像があった。邦題「餓鬼は屍体を貪り喰う」
やっぱりかっこいいじゃないか。
※本当はもう少し音源動画を載せたいところですが、どれを見てもグロテスクなアルバムジャケットや写真がサムネイルに…ここに掲載するのが躊躇われたので、気になる方は自己責任で検索をお願いします。
そして初期作品の魅力といえば何といっても邦題。アルバムタイトルの邦題から「疫魔交響曲」ですから期待大です。
カーカス名物・インパクトのある邦題
- 2曲目「餓鬼は屍体を貪り喰う」原題"Exhume to Consume"
- 5曲目「屍体大好き」原題"Empathological Necroticism"
- 7曲目「保菌者の群れ」原題"Swarming Vulgar Mass of Infected Virulency"
- 8曲目「寄生虫の卵」原題"Cadaveric Incubator of Endoparasites"
原題は読む気も失せる難解な医学用語ばかり。グロテスクなアートワークや歌詞は医学生用の教科書から引用してるらしいです。完全に使い方を間違っている。
洋楽バンドが認知されるきっかけに「面白い邦題」ってのがありますが、彼らもその中の一つでしょう。泣く子も黙る"森メタル"コルピクラーニなんかもそうですね。それはそれで記事が書けそうなので、ネタとして温めておくことにします。
おわりに
トンデモな邦題がネタにされることの多いカーカスですが、後期の作品はすべてのメタラーにオススメできるほど普遍的な格好良さを感じます。
今回はあえて触れませんでしたが、1stアルバムと3rdアルバムの邦題が一番ぶっ飛んでいますので興味のある方はチェックしてみてください。念押ししますが、興味のある方だけですよ。
※ちなみに1st・2ndのオリジナルアルバムジャケットは「検索してはいけない」レベルのグロさですので、ダメな人は要注意です…。
ダメなセルフカバー・再録アルバムとは?Arch Enemyの"Root Of All Evil"をディスってみる
メタル・ラウド系6弦ベーシスト
轟音ファクトリーのSUMI-chang(すみちゃん)です。
はじめに
2017年8月に発売されたムックの再録&リマスター版「痛絶」「葬ラ謳」。往年のムッカーたちにも概ね好評らしく、ファンであるうちのリーダーkenjideath(けんじです)も、先日会って話したときにえらく興奮しておりました。
こういったセルフカバーを発表すると必ず「オリジナルの方がいい」というファンが一定数おり、絶対的に支持される再録アルバムっていうのはそう多くない。それなのになぜかセルフカバー・リマスターをやりたがるバンドは後を絶ちません。
kenjideathとの話の流れで「最もダメなセルフカバー・再録は何か?」という話題になりました。我々2人の小さな脳みそとメタルに偏った音楽知識によってはじき出された答えが、今回紹介するArch Enemy(アーチ・エネミー)の"Root Of All Evil"です。
失礼ながらそのダメさ加減(※バンドがダメなのではなく、あくまで「アルバム」がダメなんです)と、セルフカバー・再録アルバムが陥りがちな罠について書きます。
Arch Enemy(アーチ・エネミー)とは
アーチ・エネミー(Arch Enemy)は、スウェーデン出身のメロディックデスメタル・バンド。 北欧の実力派ギタリスト マイケル・アモット等が在籍し、デスボイスの女性ボーカリストを擁する事でも知られる。
元Carcassのギタリスト、マイケル・アモットが率いるメロデスバンド。昔は「アーク・エネミー」ってみんな言ってたんだけど、最近は「アーチ・エネミー」って言うらしい。おじさんにはすごい違和感あるよ。
メロディックかつ激しいバッキングと、デスヴォイスを使いこなす女性ヴォーカル、北欧独特の哀愁感と、非常に日本人メタラー受けするサウンドで人気を博しています。先日新作"Will to Power"も発売、現役バリバリのメタルバンドです。
洋楽バンドにありがちなメンバー交代劇もありまして、ヴォーカルが
- 1996~2000年までをヨハン・リーヴァ(男性)
- 2000~2014年までをアンジェラ・ゴソウ(女性)
- 現在は元The Agonistのアリッサ・ホワイト=グラス(女性)
といった具合になっています。
特に2代目ヴォーカルのアンジェラ加入時には、当時まだ珍しかったデスヴォイスを使う女性シンガーとして注目を集め、バンドとしても一気に知名度を上げた印象があります。
今回紹介する「ダメ再録」は、そんな2代目ヴォーカルアンジェラ・ゴソウ時代のものです。
ダメな再録アルバム代表"Root Of All Evil"
再録の主旨としては「初代ヴォーカルのヨハン在籍時の1st~3rdアルバム代表曲を、アンジェラ・ゴソウ時代のメンバーで録り直す」といったもの。初期のデスメタル色の強い曲たちを、当時の最新メンバーと最新録音技術でもってさらに磨きをかける、という魂胆。前評判とCDの帯に釣られて買った覚えがあります。
とりあえず聴いていただきましょう。3rdアルバムより"The Immortal"
▼原曲(Vo.ヨハン・リーヴァ)
▼再録(Vo.アンジェラ・ゴソウ)
…いかかでしょうか。
ダメポイント1・テンポ
遅い。オリジナルの曲よりも遅い。スピード感が命の楽曲ばかりなのに、なぜテンポを落としたのか理解に苦しむ。もともとの曲のかっこよさを知っている人ほど、煮え切らない思いを抱えながら聴くことになる。僕は耐えられなかった。
ダメポイント2・チューニング
高い。オリジナルよりも半音高い。おそらくアンジェラ加入後の楽曲に合わせる形でチューニングを上げたんだと思いますが、重さが命の楽曲が完全に死んでいる。オリジナルを知らないで聴けばどうってことないのかもしれないが、1st~3rdアルバムを聴き込んだファンなら間違いなく出だしで「?」となるはず。
バンドとしては、ライブでの演奏性も考慮して「半音上げチューニング(ドロップC)を基本にしたかった」という意図もあったのでしょうが、ファンにしてみたらそんなことは問題ではない。かっこいいか・かっこよくないか、それが大事なんです。
ダメポイント3・ヴォーカル
アンジェラのヴォーカルとヨハンのヴォーカルの方向性が違いすぎて、初期の楽曲の良さを生かし切れていない。
「巧さ」で比べるなら、はっきり言ってアンジェラの方が巧いし、リズム感や攻撃性の面で彼女がバンドにもたらした恩恵も大きい。しかし初期のArch Enemyの魅力は「ヴォーカルとバッキングの対比」にあると僕は思っている。ガチガチのリフとツーバスに支えられたヨハンの「攻撃的だけどアンバランスでときに弱さすら感じる」ヴォーカルが好きだ。リズムもよたってるし、表現の幅もそこまで広くないけれど、ヨハンにしか出せない「味」が魅力的で、ありきたりなメロデスバンドとの違いでもあった。
アンジェラのヴォーカルは、たしかにインパクトはあるしリズムもばっちりなんだけど、味気ないというか物足りないというか…あんまり言うとアンジェラ批判になってしまいそうなので一応フォローさせてもらうと、彼女のヴォーカル・ライブパフォーマンスも好きです。ただファンが期待していたバンド初期の「情感」みたいなものは、やはり当時のバンドメンバーにしか出せないものなんだと再認識しました。
ダメポイント4・ギターソロの改変
これは数ある他のセルフカバーにも言えることなのですが、過去のギターソロではなく「今の俺が弾くなら」というギターソロになってしまっていること。アモットの「泣き」がより強調されたソロが耳に付きます。
先ほど指摘したチューニングの件も相まって「そこじゃないんだよなぁ」という、ファンの期待とアーティストのやりたいことがすれ違ってしまった残念なセルフカバーになっていると感じます。みんなが聴きたかったのは新しいギターソロじゃなくて、あくまで当時の雰囲気のあるギターソロなんですよね。だったら再録なんて最初から聴くなという話になってしまいますが…。
再録・セルフカバーが陥りがちな罠
散々アーチ・エネミーのセルフカバーアルバムをディスってしまいましたが、こういう再録アルバム問題ってどのバンドのファンにも起こりうることですよね。どうやったらファンもアーティストも納得のいく再録・リマスターができるのかちょっと考えてみました。
テンポ・曲のキーは変えちゃダメ
曲のもっている雰囲気って、テンポが違うだけでガラッと変わります。曲のキーを変えるなら尚更です。(ライブでの半音下げやカラオケの問題はちょっと置いておいて)
ファンが求める再録の最低条件として、テンポや曲のキーは原曲に忠実であるべきだと考えます。あえてチューニングダウンして、さらなる重さを追求するという明確な目的がある場合は別です。Dir en Greyの「残」なんかは、再録で成功したいい例じゃないでしょうか。
「今の俺たちにできること」を詰め込んじゃダメ
アーティストが再録したがる理由のひとつに「今の俺たちなら」っていう思いが必ずどこかにあると思う。それは演奏力だったり、曲の解釈だったりするわけですが、そういうアーティストのエゴを詰め込みすぎるとファンとのすれ違いが起きてしまう。
再録アルバムを買うファンの心理としては「当時の感動・興奮をもう一度買いたい」って思いが非常に強い。でもアーティストとしては「当時と同じモノ」を売るつもりはないし、むしろ変化を見てほしいと思うもの。双方のバランスが難しく、それゆえ再録アルバムはいつの時代も賛否両論なんでしょうね。
※話は少しそれますが「過去作の改変」といって思い浮かぶのはスター・ウォーズ。旧三部作の特別編を公開した際に、監督のジョージ・ルーカスも熱狂的なファンから「余計なことするな」とバッシングを浴びました。
おわりに
最近めっきり「新しい音楽」に飛びつくことが少なくなりました。CDが売れない今の世の中、アーティストとしても過去の遺産を活用できる「再録」を使わない手はありません。ファン心理とアーティストの思いの間で揺れる「再録アルバム」は、これからもきっと話題を提供してくれることでしょう。いい意味でも悪い意味でも。