メロデス&トンデモ邦題の元祖 リヴァプールの残虐王"Carcass"おすすめアルバム3選
メタル・ラウド系6弦ベーシスト
轟音ファクトリーのSUMI-chang(すみちゃん)です。
はじめに
カーカス(CARCASS)は、イングランド出身のエクストリーム・メタルバンド。
日本では「リヴァプールの残虐王」のキャッチコピーで知られ、度々来日している。初期の音楽性は後のグラインドコア、特にゴアグラインドのシーンで今でも大きな影響力を持ち、またアルバム『ハートワーク』はメロディックデスメタルの先駆けとなった。ファーストからサードアルバム、再結成後のアルバムの日本盤には、それぞれの曲に奇妙な邦題が付けられていることでも知られる(「内臓大爆破」「硫酸どろどろなんでも溶かす」など)。
▼前回取り上げた(というかディスってしまった)Arch Enemyつながりで
heavy6bass.hateblo.jp
今回は英国のCarcass(カーカス)を紹介。彼らの作品の中からオススメの3枚をチョイスしました。初期作品のドギツイ邦題も少しだけ紹介。レッツ手術&ヘッドバンギング!
※今回は、カーカス名物である「インパクトのある邦題」をアルバムごとに紹介しています。バンドのテーマがあれなので、グロテスクな表現が苦手な人はやや閲覧注意です。
Heartwork (1993年)
メロデスの元祖と言われる4th。バンドに加入したArch Enemyのマイケル・アモットが化学変化をもたらしました。デスメタルを基盤に泣きのツインリードを盛り込んで、それまでのグチャドロヴォエーな曲を「聴かせる」曲にしてしまったエポックメーキングなアルバム。
ベタすぎますが、先ずはこのアルバムを勧めざるを得ません。あとで紹介するCarcass初期作品は非常に聴く人を選ぶ音源であるため、普通にカッコいいこのアルバムから入ることを強くオススメします。僕も1枚目はコレでした。
彼らが歌うのは血であり肉であり人体そのもの。解剖学や病理学から引用した歌詞は「リヴァプールの残虐王」と呼ばれる所以でもあります。彼らのルーツに興味が湧いてきたら、徐々に時代をさかのぼって聴いていきましょう。耳と心を慣らしながら…決して無理はしないでくださいね。
カーカス名物・インパクトのある邦題
- 7曲目「汗して肉を得る」原題"Arbeit Macht Fleisch"
- 9曲目「血の病理学的解釈」原題"Doctrinal Expletives"
▼暴虐と哀愁の融合「ハートワーク」
▼冒頭のリフが文字通り死ぬほどかっこいい、邦題「死亡証明書」
Surgical Steel (2013年)
2013年リリースの目下最新作6th。Heartworkの延長線上にあるサウンドだが、17年のブランクを微塵も感じさせない、ぶっちぎりにカッコいいメタルをやっている。「冷たい手術台の上で絶望する」的なバンドのテーマは一切ブレず、曲のクオリティも演奏の切れ味もメスのように鋭い。
リフメーカーであるGt.ビル・スティアーのギターワークも聴きどころ満載だが、カーカスの個性はやはりVo.Ba.ジェフ・ウォーカーのヴォーカルだと思う。邪悪でグロテスクでありながら、彼らの武器である「歌詞」がしっかり聴き取れるデスヴォイスは、バンドの世界観にマッチしている。文句なしにオススメできる1枚です。
カーカス名物・インパクトのある邦題
- 3曲目「バラバラ死体梱包運搬システム」原題"Cadaver Pouch Conveyor System"
- 7曲目「ぶつぶつ悪魔の製粉所」原題"The Granulating Dark Satanic Mills"
▼スタイリッシュささえ感じる、邦題「監禁ネジネジ銃」
▼PV後半はやりすぎてギャグ。邦題「人間消費不適格」
Symphony Of Sickness (1989年)
先に紹介した2作は、メロデスというジャンルを確立してからのCarcass。これは彼らのルーツがよくわかるグラインドコア的な2nd。本当はファーストアルバムから聴いてもらいたい所だが、音質・曲・演奏クオリティ・アルバムジャケット、全てがいろんな意味でキッツイので、ややマイルドな(といっても決して人前では聴けないような)セカンドアルバムを推したい。
よく聴いてみるとバンドの音楽性はこの時点ですでに確立していることが分かる。メタリックなリフやブラストビートを絡めた曲展開など、素直にカッコいいと思える瞬間もチラホラ。
特徴的なのはジェフとビルのツインヴォーカルスタイル。特にビルのゲロゲロ声が強烈なインパクトを残し、独特のグロテスクな世界観に拍車をかけます。正直音質も良くないし、ドラムもモタったり突っ込んだりイマイチなのは確かですが、それがまたアンダーグラウンドな臭いをプンプン発していて癖になります。現在の彼らの演奏力で録り直したら、それはそれでカッコよくなりそう。
▼と思ったら2015年のライブ映像があった。邦題「餓鬼は屍体を貪り喰う」
やっぱりかっこいいじゃないか。
※本当はもう少し音源動画を載せたいところですが、どれを見てもグロテスクなアルバムジャケットや写真がサムネイルに…ここに掲載するのが躊躇われたので、気になる方は自己責任で検索をお願いします。
そして初期作品の魅力といえば何といっても邦題。アルバムタイトルの邦題から「疫魔交響曲」ですから期待大です。
カーカス名物・インパクトのある邦題
- 2曲目「餓鬼は屍体を貪り喰う」原題"Exhume to Consume"
- 5曲目「屍体大好き」原題"Empathological Necroticism"
- 7曲目「保菌者の群れ」原題"Swarming Vulgar Mass of Infected Virulency"
- 8曲目「寄生虫の卵」原題"Cadaveric Incubator of Endoparasites"
原題は読む気も失せる難解な医学用語ばかり。グロテスクなアートワークや歌詞は医学生用の教科書から引用してるらしいです。完全に使い方を間違っている。
洋楽バンドが認知されるきっかけに「面白い邦題」ってのがありますが、彼らもその中の一つでしょう。泣く子も黙る"森メタル"コルピクラーニなんかもそうですね。それはそれで記事が書けそうなので、ネタとして温めておくことにします。
おわりに
トンデモな邦題がネタにされることの多いカーカスですが、後期の作品はすべてのメタラーにオススメできるほど普遍的な格好良さを感じます。
今回はあえて触れませんでしたが、1stアルバムと3rdアルバムの邦題が一番ぶっ飛んでいますので興味のある方はチェックしてみてください。念押ししますが、興味のある方だけですよ。
※ちなみに1st・2ndのオリジナルアルバムジャケットは「検索してはいけない」レベルのグロさですので、ダメな人は要注意です…。