重六低音 おもろくべーす

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音楽生活をもっと"おもろく"!ラウド系6弦ベーシストSUMI-chang(すみちゃん)が、誠実にヘビーメタリックに綴ります。

SikTh 渦巻く変拍子と旋律と叫び アルバム3作レビュー

メタル・ラウド系6弦ベーシスト

轟音ファクトリーのSUMI-changです。

 

今回は大好きなバンドSikTh(シクス)のフルアルバム全3作(2017年現在)をレビュー。ベースの聴きどころも解説していきます。

 

 

The Trees Are Dead & Dried Out Wait for Something Wild (2003年)

 

The Trees Are Dead & Dried Out Wait For Something Wild [Explicit]

SikThのデビュー作。1曲目"Scent of the Obscene"イントロのスラップベースとテクニカルなドラムで1発ノックアウト間違いなし。当時はまだまだ動画サイトが活発ではなく、CDショップでの試聴がバンド選びの主流でした。お店で試聴して「なんだこれ!?」とぶっ飛んだ人も多かったのでは?


SikTh - Scent of the Obscene

今でこそDjentのパイオニアと言われていますが、当時は「プログレッシブ」「カオティック」「分類不能」と形容されることが多かった。この手のバンドでツインボーカルというのも新鮮でした。

ファーストアルバムの魅力はVo.マイキー・グッドマンの「場違い」ともとれるアバンギャルドなシャウト。ウィスパーボイスやポエトリーリーディングもこなす雑食系ボーカリストとして異彩を放っています。

楽器隊も相当にテクニカル。変拍子や高速のユニゾンはもちろんのこと、独特のコード感をもった曲が多く、SikThにしか創り出せない世界観を早くも構築しています。後に多くのフォロワーバンドを生むことになるが、彼らの音楽性は本当にぶっちぎっている。

バリバリの変拍子に乗せてエモっぽく歌い上げる"Peep Show"、独特なPV世界観が魅力の"How May I Help You?"など、聴き応えのある楽曲が並ぶ中、ピアノインストや民族音楽的な要素も織り交ぜてくる、ごった煮感が非常にクセになる。発売から14年たった今もヘビロテ中の名盤!

 

ベースの聴きどころ

  • 1曲目"Scent of the Obscene"のイントロのスラップ。ここからSikThワールドが始まった。
  • 4曲目"Skies of Millennium Night"のクライマックスのタッピング。ギターとのユニゾンプレイはテクニカルなだけでなく、不思議な浮遊感のあるフレーズが耳を離れない。
  • 12曲目"(If You Weren't So) Perfect"のイントロに続くハーモニクスを絡めたプレイ。

 

ちなみに日本版のボーナストラックに同郷イギリスの大先輩アイアンメイデンの"Wrath Child"のカバーが収録されています。SikTh風にぶっ飛んだカバーかと思いきや、意外と原曲に忠実です。


SiKtH - wrathchild

Death of a Dead Day (2006年)

Death of a Dead Day

衝撃のデビュー作から3年、待望のセカンドアルバムがこの"Death of a Dead Day"。バンドの方向性はそのままに、さらに重さと勢いを増したような超重量級変態サウンド変拍子とリフの嵐に飲み込まれます。

前作のエキセントリックな要素は少し影を潜め、サウンドは硬質に・世界観はシリアスに。よりメタルファンに好まれそうなアルバムになっています。

全曲テクニカルギターのオンパレード。ドラムの足技もグルーヴ感があって気持ちいいです。


Sikth - Bland Street Bloom HD 2011

 

ベースの聴きどころ

  • 1曲目"Bland Streat Bloom"のサビ、LowAサウンドの超ヘビーなボトム。
  • 4曲目"Summer Rain"のスラップ。ギターもスラップし始めて、驚異のチョッパーユニゾンが展開。
  • 12曲目"As The Earth Spins Round"の中盤、美しい旋律のタッピング。

 

このアルバムリリース後、2008年にSikThは一度解散することになります。

The Future In Whose Eyes? (2017)

The Future in Whose Eyes ?

2016年の再結成EP"Opacities"を挟んで、2017年にリーリスされた目下最新作。

マイキー・グッドマンと双璧をなしていたVo.ジャスティン・ヒルがバンドを脱退。後任としてジョー・ローサーが加入。ジャスティンが担当していたメロディーとシャウトパートを歌っています。

正直なところ、なんだかちょっと丸くなりました。元ペリフェリーのベーシスト、アダム”ノリー”ゲスグッドがエンジニアを担当しており、切れのいいサウンドであることは間違いないのですが、前2作のような強烈にとがった個性が薄まったように感じます。

新加入のボーカル・ジョーは、メロディーパートこそジャスティンの雰囲気を継いでいますが、ジャスティンの焦燥感のあるシャウトに比べると物足りない。マイキーとジャスティンのボーカルスタイルの対比がバンドの肝だっただけに、重心の低いジョーのボーカルは楽曲に馴染みはするもトゲがない。良くも悪くもマイルドになった印象です。

とは言え、最前線に戻ってきたことは素直に嬉しい。今後のバンドの動向に注目です。

 

ベースの聴きどころ

 

  • 1曲目"Vivid"のイントロ。ファーストアルバムのイントロを思わせるスラップで幕を開ける。
  • 6曲目"Cracks of Light"の後半のタッピング。(ちなみにこの曲にはペリフェリーのボーカル・スペンサーがゲスト参加している。)
  • 10曲目"No Wishbones"のイントロ。Djentっぽいゴリゴリのベースライン。

 


SikTh - Vivid (Lyrics video) (from The Future In Whose Eyes?)

おわりに

多くのフォロワー、そして現在のDjentシーンの基礎を作り上げたSikTh

どの楽曲・アルバムも恐ろしい完成度を誇りますが、個人的におすすめはやはりファーストアルバム"The Trees Are Dead & Dried Out Wait for Something Wild"。ぶっ飛んだ世界観・音楽性を求める、血の気の多いメタルファンには是非聴いていただきたいです。

ファーストアルバムより、ファニーなPVで人気の"How May I Help You?"でお別れです。


How May I Help You sikth