重六低音 おもろくべーす

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音楽生活をもっと"おもろく"!ラウド系6弦ベーシストSUMI-chang(すみちゃん)が、誠実にヘビーメタリックに綴ります。

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The Dillinger Escape Plan ブチ切れ暴走カオティックハードコア 初期2作+α アルバムレビュー

メタル・ラウド系6弦ベーシスト

轟音ファクトリーのSUMI-chang(すみちゃん)です。

今回はカオティックハードコアバンド"The Dillinger Escape Plan"(デリンジャーエスケイプ・プラン)の初期2作品+αをレビュー。

 

はじめに

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デリンジャーエスケイプ・プラン (The Dillinger Escape Plan) は、アメリカのニュージャージー州モリスで1997年に結成されたハードコアバンド。ボストンのコンヴァージ等と共に現在のハードコアシーンを牽引する存在として知られる。バンド名はアメリカの有名な銀行強盗、ジョン・デリンジャーに由来する(Dillinger Escape Plan=デリンジャーの逃亡計画)。
初期は一般的なハードコアを演奏していたが、次第にジャズやフュージョンエレクトロニカ等の要素を取り入れ、高度な技術をもって、展開の激しいカオティック・ハードコアを演奏するようになる。その前衛的な音楽性はハードコアファン以外からも注目を集めている。

 デリンジャー・エスケイプ・プラン - Wikipedia

想像を絶するテンションと高い演奏技術で、他の追随を許さないカオティックハードコアバンド「デリンジャーエスケイプ・プラン」。メンバーチェンジを繰り返しながらも活動を続けるベテランバンドでしたが、残念ながら2016年に活動休止を宣言しています。

特にブチ切れ度の高い初期2作品と、超おすすめなマイク・パットンとのコラボ作品を紹介します。

Calculating Infinity (1999年)

Calculating Infinity

1曲目を再生した途端、音声ファイルが壊れてるんじゃないかと疑う程の暴走。ブチ切れ度では全アルバム中ナンバーワンでしょう。

変拍子と不協和音にまみれながら、ガリガリ・バキバキという擬音がぴったりくるようなギターリフで強引に展開していきます。


The Dillinger Escape Plan - Sugar Coated Sour

 

力業一辺倒ではなく、ジャズっぽい展開やメロウな展開も顔を覗かせます。無茶苦茶やってるようで、実は計算されつくした知性も感じる曲に、開いた口が塞がりません。

▼1:40辺りから、壊れたコンピューターのような不思議展開。


The Dillinger Escape Plan - 43 % Burnt

 

彼らの魅力は、狂気のライブパフォーマンスにもあります。

全員痙攣しているかのような暴れっぷり。完全なる体育会系ハードコア、飲み会で絶対絡まれたくないタイプのバンドだ。

▼どこかのショッピングセンターらしい、インストアライブの様子。買い物行ってこんなバンドが演奏してたら事故だよ、事故。


Dillinger Escape Plan @ Virgin Megastore, 2005

 

ベースの聴きどころ

ゴリッゴリの金属的なベース。表題曲"Calculating Infinity"のメロウなパートでは落ち着いたプレイも聴くことができます。

Miss Machine (2004年)

Miss Machine

この作品からVo.グレッグ・プチアートが加入。歌唱もこなせる彼の加入により、バンドはさらなる深みへ。その後プチアートはバンドの顔とも言える存在になります。

何と言っても1曲目"Panasonic Youth"がキテる。2分半という短い曲の中に、これでもかと詰め込んだ情報量。緩急の付け方が神がかっている。


The Dillinger Escape Plan - Panasonic Youth HQ

 

歌えるボーカリストが加入したことで、こんなロディアスな曲までこなしてしまうように。暴力的な曲と曲の合間に差し込まれると、妙にしみる。


The DILLINGER ESCAPE PLAN - "Setting Fire To Sleeping Giants" (Official Music Video)


The Dillinger Escape Plan - "Unretrofied" (Official Music Video)

 

ベースの聴きどころ

"Panasonic Youth"のようなブチ切れ曲は、ゴリゴリのベースラインを。"Unretrofied"のようなメロディアスな曲はダンサブルで歌えるベースラインを。

曲ごとに表情を変えるプレイが光ります。

Irony Is A Dead Scene (2002年)

Irony Is a Dead Scene [Analog]

個人的に1番おすすめしたいのは、このアルバム。

鬼才?天才?変態?マイク・パットンをゲストに迎えた4曲入りEP。音楽的な化学反応とはまさにこのこと。パットンの奇天烈なボーカルと、バンドの知性・暴力性が見事にマッチした奇跡の名盤

この組み合わせ、もう1度やってくれないかな。


The Dillinger Escape Plan - Irony Is a Dead Scene (2002) [Full EP]

再生ボタンを押したら最後。麻薬のような中毒性。忘れた頃にまた聴きたくなる。

声を楽器のように使うパットンのボーカルスタイルが大胆にフィーチャーされています。ギターのエフェクターを切り替えるように、次々に飛び出す「そんなのあり?」なボーカルは、本当にクセになります。歌詞も、意味より語感で選んでいるようで、摩訶不思議な世界観を体験できます。ジャンルを飛び越えて評価されるべき1枚。

4曲目にはエイフェックス・ツインの"Come to Daddy"のカバーも収録されています。

 

ベースの聴きどころ

パットンのボーカルに耳を奪われて、ベースが…なんて言っている場合じゃない!

頭空っぽ、全身で聴いてみて欲しいアルバムです。

 

おわりに

ハードコア系のバンドは、荒々しい演奏や、ごり押しの力業のイメージが先行しがちです。しかしよく聴いてみると、彼らのように高い演奏技術や音楽理論に基づいたバンドも存在します。これだから音楽は面白い!

この手のジャンルが苦手な方も、是非ちょっと勇気を出して聴いてみてください。

 

heavy6bass.hateblo.jp

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