System of a Down ポップとヘヴィネスの交差点 アルバム全5作レビュー
メタル・ラウド系6弦ベーシスト
轟音ファクトリーのSUMI-chang(すみちゃん)です。
今回は"System of a Down"(システム・オブ・ア・ダウン)のスタジオアルバム全5作レビュー。現在のラウドシーンに多大な影響を与えたバンドです。
- はじめに
- System of a Down (1998年)
- Toxicity (2001年)
- Steal This Album! (2002年)
- Mezmerize (2005年)
- Hypnotize (2005年)
- おわりに
はじめに
システム・オブ・ア・ダウン(英: System of a Down)は、アメリカ合衆国のロックバンド。1994年にカリフォルニア州グレンデールで結成された。バンド名は、ダロン・マラキアン(G)の書いた『VICTIMS OF A DOWN』という曲に由来する。 メンバー全員がロサンゼルスのアルメニア・コミュニティ出身であり、社会的・政治的メッセージの強い歌を歌うことで有名。
基本的にはKornやSlipknotのようなヘヴィロック・メタルをベースにしたサウンド。日本ラウド界の大人気バンド「マキシマムザホルモン」の亮君もその影響を公言しているほど「ポップとヘヴィネスの融合」を発明したパイオニア的な存在と言えるでしょう。
どのアルバムもオススメですが、リリース順に聴いていくと彼らの音楽的な変化が分かりやすくて面白いと思います。
ちなみに今回は「ベースの聴きどころ」ではなく、中毒性の高い「洗脳フレーズ」を各アルバムごとに挙げています。ぴざぴざぱーい!
System of a Down (1998年)
ファーストアルバム。鮮烈なデビュー作。
ヘヴィなギターリフは当時すでに珍しいものではなかったですが、独特のポップセンスが突き抜けています。道化のようにおちょくってきたかと思えば、突然鬼の形相で怒り狂う、唐突な展開にシビれます。
メンバー全員がアルメニアをルーツに待ち、社会的・政治的メッセージか強い歌詞が特徴。Vo.サージ・タンキアンは、歌唱・デスヴォイス・シャウト・裏声と変幻自在に使い分け、聴くものを圧倒します。
洗脳フレーズ
3曲目"Sugar"より「しゅがぁ〜っ」
Toxicity (2001年)
セカンドアルバム。サウンドはよりヘヴィに。乾いたスネアに極太の低音がうなる、初期のKornを思わせる音作り。
勢い任せの1曲目"Prison Song"から始まり、静と動の対比が印象的な名曲"Chop Suey!"、今までにないスケール感が魅力の"Aerials"などバライティ豊かな楽曲が並ぶ。
ちなみにアルバムタイトル"Toxicity"の意味は"毒"。その名の通り中毒性ある曲ばかりです。
洗脳フレーズ
7曲目"Bounce"より「じゃんぷ!ぼんごぼんごぼんごぼんごぼんごぼんごぼんご!」
Steal This Album! (2002年)
サードアルバム。基本的には前作の延長線上にある作風で、位置づけとしてはセカンドアルバムの「アウトテイク集」。しかしアルバムジャケットとタイトルに注目してほしい。
実は今作の発売前に、セカンドアルバムの"Toxicity"のアウトテイクがネット上に流出するという事件が起きました。「お前らが俺たちの音楽を盗む気なら、勝手にやりやがれ!」と、CD-Rまんまの投げやりなジャケットに"Steal This Album"(このアルバムを盗め!)というタイトル。彼らなりの皮肉が込められたアルバムになっています。(日本語版にはかろうじてブックレットが付属。海外版には歌詞カードすらない。)
音源のクオリティはアウトテイクなんてものではなく、Toxicity2としても遜色のない出来。最近でも、ネット上でアーティストの新譜のデータが簡単に手に入ってしまう状況がありますが、そんな事態にいち早く警笛を鳴らしたバンドでもあります。
洗脳フレーズ
1曲目"Chic'N'Stu"より「ぴざぴざぱーい!」
8曲目"I-E-A-I-A-I-O"より「あーいえぇあーえーえあおーお」
System Of A Down - I-E-A-I-A-I-O #08
Mezmerize (2005年)
4枚目のスタジオアルバム。このアルバムからGt.ダロン・マラキアンのボーカルがぐいぐい前に出てきて、コーラスワークに深みが出ました。
1曲目"Soldier Side - Intro"の切ない幕開けから一転、2曲目"B.Y.O.B"への流れは何度聞いても鳥肌ものです。
▼個人的にベストギグだと思っているBYOBのライブ映像。
System Of A Down - B.Y.O.B. live (HD/DVD Quality)
耳に残って離れないフレーズのオンパレードで、全アルバム中最もリピート率の高い1枚です。壮大な2枚組の前編としてリリースされ、当時は後編の発売を心待ちにしたものでした。
洗脳フレーズ
7曲目"Violent Pornography"より「えびばでぃえびばでぃえびばでぃりゔぃなーう」
System Of A Down - Violent Pornography #07
Hypnotize (2005年)
5枚目のスタジオアルバム。"Mezmerize"とセットで2枚組の作品として完成します。
▼その他、ちょっと面白いジャケットなど別記事で紹介しています。
前作よりシリアスな作風に。おふざけ要素は抑え目で、全体的にヘヴィでダークな曲が目立ちます。2曲目"Dreaming"ではブラックメタルばりのブラストビートも聴くことができ、最もヘヴィなアルバムと言えるでしょう。おふざけ曲は"Vicinity Of Obscenity"のみですが、強烈なのでご安心を。
アルバム最終曲は前作の1曲目だった"Soldier Side"でシメ。壮大な物語が幕を閉じる。2枚通して聴くと相当なカタルシスを感じることができます。
このアルバムを最後に、現在も新譜はリリースされていません。うーん、新作が待ち遠しい!
洗脳フレーズ
9曲目"Vicinity Of Obscenity"より「ばななばななばななてらこたばななてらこたてらこたぱいっ!」
system of a down-vicinity of obscenity
おわりに
ポップとヘヴィネスの融合。最近のラウドシーンには似たようなテーマを売りにしたバンドも多いですが、そういったバンドの先駆けとなったシステム・オブ・ア・ダウンを是非聴いてみてください。病みつきになりますよ。ぴざぴざぱーい!