DREAM THEATER 印象的なベースイントロ特集
メタル・ラウド系6弦ベーシスト
轟音ファクトリーのSUMI-chang(すみちゃん)です。
- はじめに
- "The Glass Prison" - Six Degrees Of Inner Turbulence(2002年)
- "As I Am" - Train Of Thought(2003年)
- "Panic Attack" - Octavarium(2005年)
- "Lifing Shadows Off A Dream" - Awake(1994年)
- "Scarred" - Awake(1994年)
- おわりに
はじめに
今回は 「印象的なベースイントロ特集」。
ドリームシアターの数ある楽曲の中から、ベーシストが「むむ!」と反応してしまうかっこいいイントロを集めました。
それぞれアルバム収録音源とライブ音源の動画を掲載しています。
マイアングワールドをご堪能あれ!
"The Glass Prison" - Six Degrees Of Inner Turbulence(2002年)
Dream Theater The Glass Prison
Dream Theater - The Glass Prison (live)
豊かな低音弦の響きにのせた、繊細なアルペジオ。ギターのようにも聞こえますが、6弦ベースのHiC弦を使ったフレーズです。
「かーん」という鐘の音にあわせてハーモニクスも弾いています。
その後のヘビーなリフの嵐を盛り上げる、雰囲気たっぷりのイントロ。
"As I Am" - Train Of Thought(2003年)
Dream Theater - As I Am (with lyrics)
Dream Theater - As I Am - Live At Budokan (HD)
こちらもギターかと聞き間違うようなイントロ。強烈な歪み+ハーモニクスで奏でられています。ヘビーなアルバムのイントロにぴったり。
"Panic Attack" - Octavarium(2005年)
Dream Theater - Panic Attack + Lyrics
Dream Theater - Panic Attack (chaos in motion)
人気曲「パニックアタック」。高速でガシガシ弾きまくるマイアングらしいフレーズ。曲中何度も繰り返されるモチーフになっているので、非常に印象的です。
フレットにバチバチ当たるアタック音は、スティーブ・ハリスやゲディ・リーからの影響を強く感じます。
"Lifing Shadows Off A Dream" - Awake(1994年)
Dream Theater- Lifting Shadows off a Dream
Dream Theater Lifting Shadows Off a Dream Breaking The Fourth Wall DVD
ちょっと渋めのところでいくと、「アウェイク」に収録された"Lifing Shadows Off A Dream"。ハーモニクスを絡めたダークなフレーズもまた、マイアングらしいですね。
"Scarred" - Awake(1994年)
Dream Theater - Scarred ( Live From The Boston Opera House ) - with lyrics
同じくアウェイクから"scarred"。両手タッピングの怪しげなイントロ。左手でベース音、右手のタッピングでコード感を演出しています。音の選び方が非常に印象的で、派手さはないですが個人的に大好きなイントロです。
おわりに
超絶技巧バンドのドリームシアターにおいて、「目立たないながらも」とか「屋台骨を支える」という表現で評価されることの多いマイアングですが、曲の雰囲気作りを担うイントロで活躍している場面は意外と多いです。記事を書いていて、そんなマイアングがさらに好きになりました。
近々、弾いてみた動画としてDREAM THEATERベースイントロ集を作ってみようと思います。
▼Pull Me Underのベース、弾いてみました。
弾いてみた動画と著作権 YouTubeとニコニコ動画の使い分け
メタル・ラウド系6弦ベーシスト
轟音ファクトリーのSUMI-chang(すみちゃん)です。
▼前回の記事
今回は弾いてみた動画と著作権について。
いろいろ調べた結果、
アップすることにしました。どうして別々の動画サイトにアップすることになったのか、理由を説明します。
YouTubeと著作権
弾いてみた動画でよくあるパターンが、アーティストの原曲(CD音源)に自分の演奏を重ねてアップしてあるもの。僕もこういった形で好きなアーティストのカバーを「弾いてみた動画」としてアップしたかった。
しかし、これは法的にアウトらしい。動画投稿サイトにおける音楽利用についてJASRAC(ジャスラック)のページで確認しました。
▼音源利用について書かれたページ(抜粋)
- 自分で演奏したもの(これは当然オーケー)
- 自分の演奏に合わせて歌唱したもの(バックも自分で演奏してればオーケー)
つまり、アーティストの音源を使用せず、ぜーんぶ自分で演奏してたらいいよ。ということらしい。MIDI(打ち込み)でバッキングトラックを作るのもオーケーなんだって。
何がアウトかというと
・レコード会社等の許可を受けていないCD音源(市販のCD音源やYouTube上の音源はもちろんアウト。CD音源を切り抜いたり、音質を変えたり、音程を変えたりするのもダメ。)
YouTubeにアップされてる「弾いてみた動画」ほとんどアウトやん。
確かにギターやベースは「自分で」弾いているけど、思いっきりCD音源使ってるよね?(中にはアーティストや作曲者から直接許可をもらっている動画や著作権フリー音源もあると思うので、CD音源=著作権侵害ではありません。誤解なさらないように…。)
みなさんのよく知っている「弾いてみた」動画って、アーティストの音源を許可なく使っている場合、グレーどころか完全な黒。訴えられたり削除されたりしてないだけで、立派な著作権侵害。
一応YouTubeには著作権のある楽曲かどうかを自動検知するシステムもあるらしいですが、それをかいくぐった動画に関してはレコード会社・アーティストは黙認しているという解釈でいいのかな?あまりに数が多くて「赤信号みんなで渡れば怖くない」状態ってことですね。
みんなが渡ってるからって、やっぱり赤信号は怖いよなぁ(真面目)。わざわざ打ち込みでMIDIを作るのもめんどくさいし…ということで、YouTubeにはCD音源を使った「弾いてみた」動画はアップしない!
それでもやっぱり、天下のYouTube。どうせアップするならみんな使ってるYouTubeがいいよね。だから、ベースのみの「ソロベース動画」をYouTubeにアップしよう。それがいい。弾けるかどうかは別にして。
アーティストの音源を使いたい人はニコニコ動画
アーティストの音源をバックに弾いてみた動画をアップしたい人は「ニコニコ動画」へ。ややこしい説明は抜きにして結論から言うと、
以下のページで楽曲検索してヒットすれば、そのCD音源を使った動画をアップしてもいいらしい。
さっそくカバーしたかったDREAM THEATERの"Pull Me Under"を検索してみたら、ありました。やったね。
アーティストの音源を使った動画は、ニコニコ動画にアップすることにします。
おわりに
調べてみてわかった著作権のこと。中にはかなり詳細に権利について考察してあるサイトもあり、大変勉強になりました。法的な解釈については様々なご意見があると思うので、今回の記事で「間違っている!」と思われる記述がありましたら、ご指摘いただけるとありがたいです。
アーティストの魂がこもった楽曲を大切にしながら、「弾いてみた」動画制作楽しもうと思います。
今さらながら「弾いてみた動画」を撮りたい!いろんな作り方を比較してみた
メタル・ラウド系6弦ベーシスト
轟音ファクトリーのSUMI-chang(すみちゃん)です。
今回は「弾いてみた動画」の作り方について。手軽な方法からこだわりの方法まで、それぞれのメリット・デメリットを比較してみます。
- はじめに
- ①iPhoneでそのまま動画を撮る
- ②MTRで音源を録音、動画を当て振りで撮ってがっちゃんこする
- ③DAWソフトで音源を録音、動画を当て振りで撮ってがっちゃんこする
- ④iRigで音源を録音、動画を当て振りで撮ってがっちゃんこする
- ⑤番外編:iTrack Pocket を使う
- おわりに
はじめに
YouTubeやニコニコ動画において、楽器・バンド好きたちの一大ジャンル「弾いてみた」。カバーされている楽曲、演奏のクオリティ、編集の技術…実に様々な動画が溢れています。
素晴らしい技量をお持ちの演奏者の方や、弾いてみた界での有名人などもおられます。中には強烈な個性の方も…(※プロのベーシストの方です)
【BANg】ティアドロップスのベース弾いてりみ【Dream!】
既に完成しつつあるコミュニティに今さら飛び込んでみようというのが今回の主旨。
30代バンドマンの入り込む余地はあるのか。
さっそく曲を練習して「弾いてみよう」と思ったものの、どうやって動画作るの?状態。一からいろいろ調べてみました。
「弾いてみたい人」SUMI-changのステータス
(理想)
- できるだけお金はかけたくない
- 曲の練習以外にあまり時間は割きたくない
- でも動画のクオリティはある程度保ちたい
(現状)
アイテム
スキル
- パソコンの難しいことはあんまりよく分からない
- ベースはそこそこ弾けると自分では思っている
- 凝り性
では、比較してみましょう!
手軽さ・コスパ・クオリティをそれぞれ5段階で評価しています。
①iPhoneでそのまま動画を撮る
- 手軽さ:★★★★★
- コスパ:★★★★★
- クオリティ :★
まず思いついたのが、iPhoneの標準カメラでそのまま動画を撮っちゃう方法。
小型のベースアンプでベースを弾きつつ、コンポからカバーする曲を流します。それをそのままiPhoneのマイクで拾って、弾いてる動画も一緒に撮ってしまうわけですね。
出費ゼロで作れるやん!と思ったのですが、クオリティはお察しの通りです。
特に音質は期待できません。ベース音もラインで拾ってないので調整が難しいし、バックの原曲とバランスを取るのが困難。加えてベースの生音(特にフレットノイズ)や生活音も一緒に録音されるので、素人感丸出しの(ていうか素人なんですが)残念な動画ができそうです。
ミスの許されない一発録りの緊張感にも押しつぶされそうなので、できれば避けたい方法です。やはり多少の出費は仕方ないのか…。
②MTRで音源を録音、動画を当て振りで撮ってがっちゃんこする
見てくださいこのメカメカしたMTR。
慣れ親しんだMTRに、カバーしたい曲を録音します。このあたりは普段使っているので問題なし。ついでに原曲もMTRに取り込んでミックスしてしまおう。これで自分の弾いたベースラインと原曲のバランスも取れます。
問題はここから。弾いてみたには「動画」が必要。
音源を先に録ってしまっているので、動画は当て振りになります。何だかちょっと卑怯な気もしますが、この方法で作っている動画が主流のようです。
動画はスマホで撮ってもいいし、手持ちのビデオカメラでもいいでしょう。
がっちゃんこする(音源と動画をくっつける)には、パソコンに両方を取り込む必要があります。このあたりがPCスキルのない僕にとっては億劫な部分。別途動画編集ソフトを使って、音源と動画をシンクロさせて仕上げます。ここでちょっと色気を出して動画に演出を付けるとクオリティアップ間違いなし!(想像)
一番現実的な方法のような気がしてきました。
③DAWソフトで音源を録音、動画を当て振りで撮ってがっちゃんこする
- 手軽さ:★★
- コスパ:★★
- クオリティ :★★★★★
MTRの代わりにDAWソフトを使って録音。その後MTR録音のときと同じように当て振りで動画を撮って、くっつけます。
MTRよりも音源のクオリティは上がるでしょうし、できることも多いので導入を検討したいところ。確かに出費はありますが、その後の拡張性を考えるとそこまでコスパの悪い買い物でもない気がする。別途オーディオインターフェースは必要ですが。
心配なのは、
- うちの低スペックノートパソコンがDAWソフトの使用に耐えられるか。
- できることが多すぎるために音源完成までの時間が膨大にかかりそう。
- DAWソフト導入→新しいパソコン欲しくなる→いろんなプラグイン、周辺機器も欲しくなる、という出費のスパイラルに落ちる可能性も秘めている。
凝り性の人が手を出したらマズい領域かもしれない。
Steinberg スタインバーグ DAWソフトウェア CUBASE ELEMENTS 9 通常版 CUBASE EL /R
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④iRigで音源を録音、動画を当て振りで撮ってがっちゃんこする
- 手軽さ:★★★★
- コスパ:★★★★
- クオリティ :未知数(録音のクオリティが分からないため)
IK Multimedia iRig 2 ギター/ベース用モバイル・インターフェース【国内正規品】
- 出版社/メーカー: IK Multimedia(アイケーマルチメディ)
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MTR、DAWソフトに代わる存在として「iRig」があります。iRigはiPhone用のオーディオインターフェースで、ギターやベースの演奏を直接iPhoneやiPadに取り込むことができます。iRig・iRig HD・iRig PROとできることによって何種類か発売されているようですが、一番安価なiRigで約4,000円ほどと出費も最小限。これはいいかも。
結局動画は当て振りになりますが、iMovieなどのAppを使えばすべての行程をiPhone上で完結できるので、パソコンあんまり得意じゃない自分にとっては好都合。第一候補です。
⑤番外編:iTrack Pocket を使う
- 手軽さ:★★★★★
- コスパ:★★★
- クオリティ :未知数(録音のクオリティが分からないため)
Focusrite iTrack Pocket / iPhoneレコーディングデバイス
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それでもやっぱり録音と撮影を同時にやってしまえたら楽だよなぁ。何かないかな?と検索していると、「iTrack Pocket」なるアイテムがあるらしい。
既に3年も前に発売された商品で、iPhoneをドッキングするだけで動画撮影とライン録音が同時にでき、公式のアプリで動画の編集・YouTubeのアップロードまでできるらしい。いいじゃんこれ!
商品レビューも豊富で、なおかつ大手のオーディオメーカー商品、実売価格が8,000円程度に落ち着いてきているので、買い時かもしれません。実際の使い勝手や録音の音質までは分からないのでクオリティは未知数ですが、「弾いてみた動画」に特化した商品としてはこれ以上のモノはないのではないか、という内容です。
おわりに
- 手軽さ重視・弾いてみた動画専用ならiTrack Pocket
- 拡張性や汎用性を重視するならiRigかDAWソフト
といったところでしょうか。
いずれにしろ、周辺機器・動画編集ソフトの導入を検討します。近いうちに「弾いてみた動画」をアップしたいところですが、是非とも動画撮影のノウハウ、こんな撮り方があるよ!等、コメントいただけると嬉しいです。
そしてもう一つの課題、動画アップロードと著作権の問題については別記事で書くことにします。
▼次の記事・動画アップロードと著作権の問題について
heavy6bass.hateblo.jp
heavy6bass.hateblo.jp
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CYNIC 宇宙を感じるプログレ アルバム3作レビュー
メタル・ラウド系6弦ベーシスト
轟音ファクトリーのSUMI-chang(すみちゃん)です。
今回は、プログレメタル・ロックバンド"CYNIC(シニック)"のフルアルバム全3作のレビュー。宇宙を感じる超個性派バンドです。
- はじめに
- フォーカス- Focus (1993年)
- トレースド・イン・エア- Traced in Air(2008年)
- カインドリー・ベント・トゥ・フリー・アス- Kindly Bent to Free Us(2014年)
- おわりに
はじめに
シニック(Cynic)は、アメリカ合衆国出身のプログレッシブ・ロック・バンド。
1993年のアルバム「フォーカス(Focus)」ではデスメタルとジャズ・フュージョンを高次元的に融合し、テクニカルデスメタル(またはプログレッシブデスメタル)というジャンルの一つの完成形を創り上げた。デスヴォイス(グロウル)の他にもヴォコーダーを使用し、機械音声のようなボーカルが特徴で、宇宙的且つ浮遊感のある独特の世界観を持っている。
独特な世界観、浮遊感のある音像、他に似たバンドが思いつきません。
ウィキペディアに書かれているとおり、初期はデスメタルにジャズ・フュージョンを融合させたような音楽性。アルバムを重ねるごとにデスメタル→メタル→ロックと 少しずつ進化してきましたが、軸は全くブレていません。
紹介するアルバム順(リリース順)に聴くことをおすすめしますが、どれを1番に手にとってもらっても彼らの魅力は十分に伝わります。
ベーシストなら、Ba.ショーン・マローンのフレットレスベースの響きに耳を奪われること間違いなし。必聴です。
フォーカス- Focus (1993年)
デビュー作。刻みの多いギターにツーバスを絡めたドラム、デスボイスと、要素だけを書き連ねると確かにデスメタル。
彼らをただのデスメタルの範疇に留めておかないのは、ヴォコーダーを使った浮遊感のあるボーカル、フレットレスベースの存在、そしてジャズ・フュージョン的な曲展開にあります。
▼百読は一聴にしかず。
僕はリアルタイムで聴いたわけではなくて、初体験は再販のリマスターバージョン。ガッチガチのメタルリフの合間を自由自在に飛び回るフレットレスベースに心を奪われました。
ジャケットのアートワークのように、無機質でありながらどこか宇宙的なものを感じる唯一無二の音。その後のプログレメタルシーンや、メシュガーなどdjentシーンにも多大な影響を与えたとされていますが、日本国内での認知度は低かったようです。現在はメタルのディスクレビュー本に必ずと言っていいほど掲載され、評価されていますね。(当時アルバムはすぐに廃盤。幻の名作と言われていたらしいです。)
ベースの聴きどころ
全編通して、もっちりとした独特のトーンが堪能できます。
強いて上げるなら7曲目のインスト"Textures"で目立つベースソロを聴くことができます。
▼2:25~ ベースソロ
素晴らしい作品ですが、この1枚を残して解散。
2作目が世に出るのは15年も後になります。
トレースド・イン・エア- Traced in Air(2008年)
「CYNICの再結成」と聴いて驚いたのは僕だけではなかったはず。音源に先立って公開されたジャケットのアートワークに「きっと大丈夫。あのCYNICが帰ってくる」という確信が。
2008年にリリースされたセカンドアルバムは、期待通り前作の音楽性を引き継いでいます。デスボイスの占める割合がぐっと減り(ポイントを絞って効果的に使われている)、音作りも非常にクリアで現代的。一般的なメタルリスナーにも受けそうな聴きやすい曲が増えました。ヴォコーダーのメロディーも口ずさみたくなるものばかり。
だからといって決してセルアウトを狙ったアルバムではなく、非常にマニアックで濃密な楽曲が並ぶ。異次元を旅するような、不思議な感覚を味わえます。
ベースの聴きどころ
前作同様、全編にわたってフレットレスベースが暴れまくっています。
特に1曲目~4曲目の流れが素晴らしい。2曲目"The Space For This"のイントロでは美しいベースの響きが堪能できます。
カインドリー・ベント・トゥ・フリー・アス- Kindly Bent to Free Us(2014年)
サードアルバム。このアルバムをリリース後、CYNICは再び解散することになります。
デスメタル→メタルと進化し、ついにこのアルバムではメタル要素すら身を潜めることに。どこからどう聴いてもCYNICであることは間違いないのですが。包み込むような優しささえ感じる不思議な1枚。
2曲目"The Lion's Roar"は「ライオンの咆哮」というタイトルに反して、メジャー調の爽やかな曲。もはやメタルではないかもしれませんが、アルバムでも特に大好きな1曲です。
CYNIC - The Lion's Roar (lyrics video)
ベースの聴きどころ
アルバム3作を通して、ベースの音像が最もクリアで聴きやすいです。
2曲目"The Lion's Roar"でメジャースケールを自在に駆け上がったり駆け下りたり、スリリングな演奏を聴くことができます。
5曲目"Moon Heart Sun Head"は、音源から判断するに恐らくチャップマンスティックを使用しています。タッピングのニュアンスが足されたような不思議なベースラインは超個性的。
Cynic - Moon Heart Sun Head (Official Lyric Video HQ)
おわりに
今や「プログレ・メタル」というと珍しくも何ともなく、一般的なジャンルになりました。そんな中でもぶっちぎりの個性をもったバンドがCYNIC(シニック)。
宇宙を感じたい方は是非。
部屋を暗くして、ヘッドホンでゆったり聴くのがおすすめです。
「ジャケ買い」から「サムネ聴き」へ…CDの存在価値について考えてみた
メタル・ラウド系6弦ベーシスト
轟音ファクトリーのSUMI-chang(すみちゃん)です。
今回は、CDの存在価値・これからの音楽メディアについてちょっと真面目に考えてみました。
メタルのコンピレーションアルバム作ろう
先日うちのバンドリーダーkenjideath(けんじです)と昼飯を食べに行きまして、
「メタルバンドばっかりのコンピレーションアルバム作りたいね」って話になりました。
どうやってバンド集めようか?と考えたんですが、音楽的希少種であるメタルバンドの捕獲はなかなか難しい。
しばらく悩んだ結果、最近流行りの(といっても結構前。30代の「最近」は5~6年を指す。)
「クラウドファンディング」を使ってみたらどうかというアイデアが浮かんだんです。
内容は
「メタルバンドばっかりのアルバム作るよ。支援したい人は一口〇円から!リターンは支援額に応じてあなたのバンドの曲をコンピレーションアルバムに収録、CDにして返すよ!」
というもの。
こうすれば、告知もできる+実質の制作費が集まる、さらにはメタル仲間も集まるやん!ぼくたちてんさい!あったまいい!となった訳です。
で、少し冷静になって考えたんです。
「今時の若手バンドは、そもそもCD作りたいと思ってるの?」
CDの存在価値
僕らが十代だったころ
「CDをリリースすること=夢・ゴール」
でした。地元のオリジナルバンドでCDでも作ろうものなら、ライブのMCでドヤ顔で宣伝(押し売り)できた。めちゃくちゃ攻撃力の高いアイテムだったんですね。
あれから十数年。世は「YouTube ・動画全盛期」。鼻歌歌って動画をアップすれば小・中学生だって「表現者・発信者」になれる時代。そんな時代にわざわざお金出してCD作るかな?と思ってしまったんです。
YouTube に動画を上げるのって、例えるなら
「億単位の顧客を持ったデパートに、ノーリスクで自分の商品を置いてもらえる」感覚。
しかも国内のみならず世界規模の市場で。
地元のスタジオに10万払ってレコーディングして、ライブでCDを手売りしていた時代はもうとっくに過去なんだろうな、と30代バンドマン2人は悟ってしまったのです。
僕もCD文化の中を生きてきた1人だし、今もなおCDが支持される土壌はあるはず。ファンアイテムとしてのCD・パッケージを含めた総合的なアート作品としてのCD。どちらもありだと思うんです。
▼こんな記事も書いてます。
ただ、音楽市場におけるCDの価値が既に大きく変わってしまったんだと今回の件で再認識しました。
これからは「サムネ聴き」の時代
これからの時代「ジャケ買い」から「サムネ聴き」へ。
モニターの隅に映るサムネイルをいかにクリックさせるか。最初の5秒でいかに心を掴むか。どうやって曲を最後まで聴いてもらうか。
純粋に音楽を追求するだけでは誰の耳にも届かない。誰かに届けるためのテクニックも学ばなければ…としみじみ思うのでした。
…そんな訳で、僕ら「轟音ファクトリー」の新曲のPVは今後カワイイ女の子のサムネになると思うので、「あざとい野郎だ」と軽蔑しつつ、ポチッとクリックをお願い申し上げます。
DREAM THEATER 2017来日 グランキューブ大阪 ライブレポート!
メタル・ラウド系6弦ベーシスト
轟音ファクトリーのSUMI-chang(すみちゃん)です。
DREAM THEATER 来日ツアー グランキューブ大阪(大阪国際会議場)に参戦してきました。セットリスト・ライブレポートです。
ライブから帰宅してそのままの熱量で書きましたので、長文になります。
はじめに
今回のツアーは、名盤"Images & Words"のアルバム発売25周年を記念して、I&W完全再現+αという、ファンなら期待せざるを得ない内容。当日まで楽しみすぎて、海外での公演映像・セットリスト・先に回った豊田、広島、武道館でのライブレポートのツイートや2chのスレまで入念に下調べをするという有様。
予備知識なしで行ってイントロ聴いて「この曲か-!」「キター!」という感動や驚きはなかったですが、セットリストと同じ曲目のプレイリストを繰り返し聴いて挑んだので、イメトレは完璧でした。どの曲も聴き込んだ大好きな曲ばかりだったので、もし「ドリームシアター変拍子ヘッドバンギング選手権」でもあれば上位入賞する自信がありました。
気がかりだったのは、ラブリエ不調説。Youtubeの動画のコメント欄で外国の方が「ラブリエどうしちゃったの?」「ラブリエは終わった」「新しいシンガーを入れろ」と散々ひどいコメントをされていました。
「あの子大丈夫かしら?調子が悪いらしいけど…心配だから応援しに行くわ」と
ラブリエのおかんのような心境で、僕は電車に乗ったのでした。
開演前
早めに会場に着いたのでウロウロ…。物販は公式サイトに挙がっていたものだけでした。ライブTシャツはデザインが好みではなかったので今回はパスしました。
「プロフェッショナルカメラ」禁止とあるので、一応スマホはオーケーなんですね。堂々と「スマホはオーケー」って書かないあたり、日本ではまだミュージャンのライブ撮影は定着しないようです。
開場と同時に席に向かいます。テンション上がってきたー!!
奮発してプレミアムシートを買ったので、かなり前方での鑑賞です。マイアングのプレイを間近に見られそうです。しかしメインスピーカー付近という、音響外傷を経験した僕にとっては過酷な席になるかもしれない予感。
大丈夫、僕には耳栓がある。
セットリスト
第一部
- The Dark Eternal Night
- The Bigger Picture
- Hell's Kitchen
- The Gift of Music
- Our New World
- Portrait of Tracy (Jaco Pastorius カバー)
- As I Am
- Breaking All Illusions
第二部 "Images and Words"
- Pull Me Under
- Another Day
- Take the Time
- Surrounded
- Metropolis Pt. 1(The Miracle and the Sleeper)
- Under a Glass Moon
- Wait for Sleep
- Learning to Live
アンコール "A Change of Seasons"
- A Change of Seasons: I The Crimson Sunrise
- A Change of Seasons: II Innocence
- A Change of Seasons: III Carpe Diem
- A Change of Seasons: IV The Darkest of Winters
- A Change of Seasons: V Another World
- A Change of Seasons: VI The Inevitable Summer
- A Change of Seasons: VII The Crimson Sunset
第一部レポート
超絶ヘビーな曲"The Dark Eternal Night"からスタート。PAの関係もあると思いますが、まだ音がモゴモゴしてスッキリしない立ち上がりです。
しかし心配していた息子ラブリエは好調な感じです!おかん安心したよ!
終盤、お馴染みとなったルーデスのiPadタイム。ショルキーは今回出番はありませんでしたが、やはり目を引きますね。
壮絶なインストバトルの後、ラブリエのMCが入ります。
「1992年に初めて日本に来たときはマジで興奮した!25年経っても、まだこうしてライブできるってファンタスティックだよな!みんな最高!」「今日ここに来たからには、嫌なこと余計なこと全部忘れて3時間楽しもうぜ!」と会場を煽ります。
続いてセルフタイトルのアルバムから"The Bigger Picture"。ペトルーシの泣きのギターがしみる。だんだん音もまとまってきた感じ。ルーデスもよく観客の方を向いてくれて楽しんでいることが伝わってきます。
大好きなインスト"Hell's Kitchen"では、マンジーニの雰囲気作りが際立っていました。引くところは引いて、押すところはドカン!と出てくる、ダイナミズムのあるドラムが気持ちいいです。
次は最新アルバムより"The Gift of Music"と"Our New World"。爽やかなドリームシアターも好き。カラッと明るい曲はマンジーニが合う!CDで聴くと控えめなドラムも、生で聴くと相当にテクニカルです。
続いてMC。ラブリエからマイアングの紹介があります。憧れのミュージャンのトリビュートをやるよ!との前振りでジャコの「トレイシーの肖像」をマイアングが奏でます。やっぱりこの曲、ベーシストなら弾いてみたくなるよね。マイアングも若い頃は誰かに憧れるベースキッズだったんだなーと感慨深いです。
美しいハーモニクスが歪み、"As I Am" のイントロに!この曲はライブ映えしますね!マイアングのピッキングを間近に見て、その力強さに驚く。ぶっといベース音がよく聞こえます。グランキューブは音響がイマイチとの評判でしたが、前方はほとんど気になりませんでした。
アウトロはメタリカのエンターサンドマンを挟み込んで遊んできます。本当にメタリカ好きだな、この人たちは。
第一部の締めくくりは"Breaking All Illusions"。
月並みな言葉ですが、やっぱり生で見ると違います。息子ラブリエを心配していた自分は何処へやら。もう心の底から楽しみました。
曲が終わるとラブリエが「20分後にまた会おうぜ!」と、体と膀胱に優しい言葉を残して、メンバーと一緒に去って行きました。
第二部レポート
トイレ休憩を挟んで、今回のメインディッシュ"Images & Words" が始まります!
不安だったのは、I&Wは半音下げだと言うこと。何度も聴き込んだアルバムだけに、違和感を感じて楽しめないんじゃないか?と思っていました。今までライブでの「完全再現」にこだわってきただけに、バンドとしても大きな決断だったんじゃないでしょうか。
それだけラブリエが不調なのか…?
おかん、また息子ラブリエのことが心配になってきたよ。
"Pull Me Under"のイントロは正直ちょっと違和感。しかし慣れというのは恐ろしいもので、すぐ気にならなくなりました。ギターソロで高音を弾いた時にはさすがに「ん?」となりますが、許容範囲。
息子ラブリエは、うまい具合にフェイクで乗り切っていきます。がんばれ!おかんが応援してるよ!
フェイクが顕著だったのは続く"Another Day"と"Take the Time"。曲のハイライト、高音で歌い上げる部分は無理せずメロディーを変えて歌っていきます。分かっていたとはいえ少し残念。
でも冷静に考えたら、この先何本ものライブを世界中でやる訳ですから、この辺りは「体調・喉のマネージメント」といって差し支えないでしょう。どうしてもファンとしては全力を期待してしまいますが、声はミュージャンの生命ですからね。
"Surrounded"はベースラインが非常に気持ちいい。変拍子を絡めながらも爽快感のあるこの曲は、やっぱり好きです。
ここでステージが暗転。メンバーは一度ステージ袖へ。今回は大きなスクリーンがなく地味目のセットに見えましたが、ライティングが素晴らしい。バンド演奏に完全にリンクした光の演出に感動します。SEと共に再びメンバーが集まり"Metropolis Pt. 1(The Miracle and the Sleeper)"がスタート!一糸乱れぬ演奏にポカーン。でした。
中盤ドラムソロ→マイアングタッピングソロ→遊園地パートを4人でユニゾン、と楽器陣が荒ぶります。(遊園地パートはツーバス疾走の方が好きかな…)
もうこの時点でかなりお腹いっぱいですが、立て続けに"Under a Glass Moon"へ。ラブリエのハイトーンもこの曲あたりからグイグイ右肩上がりになってきた印象。その調子だっ!この曲のギターソロは個人的にメタル史上最高峰のソロだと思っているので、生で聴けて本当に良かった。ルーデスの可動式スタンドもインストバトルで映えますね!
個人的に今回のハイライトは"Wait for Sleep"と"Learning to Live"。"Wait for Sleep"はラブリエの豊かな低音と息遣いが素晴らしく、大袈裟ですが「やっぱりドリームシアターのボーカルは彼しかいない」と再確認。ちなみにこの曲だけ原曲キーでした。
マイアングが作詞を手がけた"Learning to Live"は、変拍子が特にキツイ曲なんですが、メンバー全員さらりと弾きこなしています。なんだこれ。
おかんは、終盤の山場「息子ラブリエのハイトーン」を待ちます。
徐々に楽器陣の演奏が高まってきて…
でたーーーーっ!
全力を見せてくれました。ありがとう。
アンコール
締めくくりは"A Change of Seasons" 。
先に感想を言うと「完璧」でした。この曲も半音下げでの演奏でしたが、全く気になりませんでした。
ラブリエのボーカル、ペトルーシのギターワーク、ルーデスの奏でる旋律とリズム隊が渾然一体となって、あっという間の一曲23分でした。
惜しかったのは、ベースの機材トラブル。
途中、完全にベースの音が途切れる時があり「あれ?」と思うもそのまま進行。マイアングの一番美味しいキメのところでのトラブル、ご本人も不本意そうでした。仕方ないとはいえ、一瞬現実に帰る瞬間がありました。
おわりに
スマホ撮影はいかがなものか?
「これだけ写真撮ってアップしてるお前が言うな」と叱られそうですが、「撮ってもいいよ」と言われると、何だか撮らないと損するような気がするのが人の性。シャッターチャンスを考えながら演奏を聴いたり、人のスマホが気になったり…ファンにとってもアーティストにとってもあまりメリットはないと感じました。
SNSで拡散してプロモーションに!という主催側の意図もあるかと思いますが、いっそどのライブも撮影完全禁止にしてもらった方がクリーンじゃないですかね?
みなさんはどう思われますか?
※写真撮影オッケーなライブが初めてだったので、バンドのメンバーにも周りのファンの方にも何となく申し訳ない気持ちで撮っていました。禁止されている行為ではないとは言え、不快に思われた方がおられたらごめんなさい。
やっぱりライブは生で見てこそ!
ライブに行く前から、ラブリエが不調らしいとか半音下げらしいとか…ネガティヴな情報ばかりインプットされて参戦しました。結果的には生の演奏を見て、そんな事どうでもよくなりました。やっぱりドリームシアターが好きだ。
YouTubeの動画を見てちまちま批判してるのはくだらないなと思いました。
ライブは生で見てナンボですね!
これにてDream theater 2017来日レポート終了です。最後まで読んでいただきありがとうございました。
気軽にコメントいただけると嬉しいです!
▼ベーシスト目線でアルバムレビューも書いてます。
▼Pull Me Under 弾いてみました。
仕掛け・コンセプトのあるジャケット&歌詞カード【メタル・ハードコア編】
メタル・ラウド系6弦ベーシスト
轟音ファクトリーのSUMI-chang(すみちゃん)です。
みなさん最近CDって買っていますか?歌詞カードを手にとって読んでいますか?
YouTubeなどの動画サイトや音楽配信・聴き放題サービスが広まるうちに、めっきり手に取ることのなくなったCDや歌詞カードたち。かくいう僕もアップルミュージックに加入してから、ほとんどCDを買わなくなってしまいました。「ジャケ買い」なんて遠い昔の話。
アーティストの表現の場として「ミュージックビデオ」が主流になった今だからこそ、凝ったCDジャケットや歌詞カードに注目してみよう!ということで、CDの棚を久しぶりにがさごそ…。面白い!と思った作品を5つ紹介します。
- System Of A Down - Mezmerize / Hypnotize (2005年)
- Slayer - God Hates Us All (2001年)
- Tool - 10,000 Days (2006年)
- Dream Theater - Octavarium (2005年)
- Fantomas - Suspended Animation (2005年)
- おわりに
System Of A Down - Mezmerize / Hypnotize (2005年)
アメリカのロックバンド「システムオブアダウン」より"Mezmerize / Hypnotize"。発売時期の異なる2枚のアルバムですが、紙製のケースを合体させると前編・後編の2枚組になる仕掛け。
アルバムジャケットの対比や、2枚を繋げたときにできるサイケデリックなアートなど「魅惑」「催眠」のアルバムタイトルにふさわしい仕掛けになっています。音源自体も文句なしの名盤です。
Slayer - God Hates Us All (2001年)
スラッシュメタルの重鎮「スレイヤー」より"God Hates Us All"。「神は我々を憎んでいる」というタイトル通り、反キリスト教を掲げた罰当たりなアルバム。
歌詞カードが聖書を模したスタイルになっており、不謹慎な落書き・冒涜的な歌詞を聖書の間に挟み込むなど徹底している。ちなみにベースボーカルのトム・アラヤは敬虔なクリスチャンらしい。どうしてこうなった。
Tool - 10,000 Days (2006年)
プログレッシブ?民族音楽チック?独自の音楽世界を展開するトゥールより"10,000 Days"。ジャケットを開けると何やら眼鏡のようなモノが。
歌詞カードにある図の通りのぞき込んでみると…奥行きのある不思議な絵を見ることができます。立体視の原理を使った仕掛けに驚き!音楽性だけでなくパッケージのギミックも独特なのでした。
Dream Theater - Octavarium (2005年)
大好きドリームシアターより「オクタヴァリウム」。アルバムタイトル通り「8」をコンセプトにした仕掛けがあちこちに見られます。
- 8枚目のスタジオアルバム。収録曲は8曲。
- ジャケットの衝突球は裏表合わせて8個。CD盤面に正八角形。歌詞カードにタコ。(他にもたくさん!)
音楽的にも8は収まりのいい数字で、ドレミファソラシドの鍵盤8個(1オクターブ)でコードが一周します。それを示すように鍵盤のモチーフが多く使われています。(ジャケットの衝突球の間を飛ぶ鳥は、よく見るとちょうどピアノの黒鍵の位置になっている!)
さらに驚くべきは、収録曲のキーが曲順にF(ヘ短調)から始まり、G(ト短調)、A(イ短調)、B(ロ短調)、C(ハ短調)、D(ニ短調)、E(ホ短調)と続き、そしてF(ヘ短調)に戻るように作曲されていること!!すごすぎるよこの人たち…。
ウィキペディアにはさらに細かな仕掛けが分かりやすくまとめられていましたので、興味のある方はのぞいてみてください。8(白鍵の数)だけでなく5(黒鍵の数)にまつわる仕掛けも多いらしく、気持ちの悪いほどにコンセプトにこだわった作品になっています。
Fantomas - Suspended Animation (2005年)
鬼才マイク・パットン率いるアバンギャルドなハードコアバンド「ファントマス」。中でもコンセプチュアルなのがこの「サスペンデッド・アニメーション」というアルバム。
曲名を見てみると
- 04/01/05 - Friday
- 04/02/05 - Saturday
- 04/03/05 - Sunday
- 04/04/05 - Monday
- 04/05/05 - Tuesday
- ....
…と、2005年の4月のカレンダー通り、日付と曜日が並ぶ全30曲。明確な意味があるのか適当に付けただけなのか…。(4月1日がパットン自身の設立したレーベルの創立記念日だから、という見方もあるようです。)
ジャケット・歌詞カードのデザインは、日本人アーティストの奈良美智さんが手がけていて、初回版のみ30ページのイラストが掲載されています。さながら日めくりカレンダーのようです。
音楽性もジャケット・歌詞カードのように、おもちゃ箱をひっくり返してパットン節で味付けしてこねくり回したようなサウンド。素敵。ちなみにドラマーはスレイヤーのデイブ・ロンバート。あなたこんなこともできるのね。
おわりに
デジタル配信・動画全盛期の今だからこそ、こういったアナログなアートが再評価されてもいいのではないでしょうか?ジャケット・アートワークで気になった作品があれば是非YouTubeで…いやいやAmazonでお買い求めください。
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